2024年5月5日(日)

パラアスリート~越えてきた壁の数だけ強くなれた

2014年1月30日

初瀬:週に2~3回出勤しているので会社への帰属意識がありますよね。スポンサー契約の場合は、会社への帰属意識がないからあまり良いとは言えませんし仕事のスキルが身につきません。

 三阪さんの働き方はきっと障害者アスリートの理想的な形なのかもしれませんよ。

 出勤しないで練習や試合だけするのが仕事だという人もいますが、これはプロ契約ですね。実際にこういう障害者アスリートもいることは事実です。その逆でフルタイム出勤だけどパラリンピック等、長期の遠征で抜けるような時は特別休暇にしてくれるというケースもあります。

三阪:仕事をしていれば引退した後も企業には残りやすい。だから、フルタイムでスポーツをしている人たちは、引退後の仕事をどうするのか会社側と話し合っているのか心配になります。

 僕は引退しても今の会社で働き続けて行きたいと思っています。バークレイズの社会貢献活動の1つで、障害者に対する理解を広める活動を仕事として行っています。正式な仕事の一つとして認められているので講演をしたり、支援学校での活動を仕事として評価してくれます。

 健常者も障害者もお互いの理解が足りないと思うんです。僕たち障害者がこんなことを考え、こんなことをやってきたんだということを発信したい。そして多くの人の理解を得ていくことが必要だと思っています。

初瀬:僕は死ぬ前に障害者になってよかったという死に方をしたいと思っているんです。

 障害を負ってしまったことは仕方のないことですが、生きている以上障害者だって必ず社会に貢献できるんです。

 でもなぜ自分が障害を負ったのか、その意味は問い続けるつもりですが、答えのひとつが健常者と障害者の架け橋になることではないかと思っています。健常者だって何のために生まれてきたんだろうと考える人もいます。障害者はその思いが強いんです。パラリンピックはそういう障害者達の背景を考えながら見てほしいと思います。

後篇へ続く

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