2024年11月21日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年11月4日

 そのウォルトが立場を修正し、外交政策を含めてトランプの全面否定に出ているのがこの論説である。立場の修正にはいくつかの背景・理由が考えられる。

 一部の論者からトランプをリアリストとして評価する見方が示される中、トランプが行った外交をリアリストとして評価するわけにはいかないと考えたこと。1月の論説では、国内政策と外交政策を区別して論じたものの、結局、両者を区別して論ずることはできないと考えたこと。トランプが米国の民主主義を破壊する危険を最重視すべきと考えたこと。そうした点が考えられるが、それらすべてを合わせたものかもしれない。今回の論説には、第二期トランプ政権が誕生することへの強い懸念が示されている。

日本が「新大統領」と向き合う姿勢

 日本の中では、ウォルトと同様にトランプに懸念する声と共に、トランプに対して好意的な見方も存在する。ある者はトランプ政権時にうまくやることができたという自信から、ある者はトランプ政権時の対アジア政策を評価する立場から、ある者はトランプを米国の保守思想の体現者と見て好意的な見方をとっている。

 日本としては、選択の余地はない。トランプであろうと、ハリスであろうと、選出された大統領の下の米国と向き合いつつ、自らの国益を最大化する努力を行うほかない。どのようなカードとなっても、配られた手札に文句を言っても始まらない。自らなすべきことを実現していく意思と能力が重要であり、そのために、どのように国論を統一していくかが問われる。

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