2024年11月22日(金)

社食に企業の想いあり

2014年2月6日

 「1day社食を通して記憶に残るような体験をしてもらいたいし、その都度びっくりしてほしいと思っています。そのほうが社員同士の会話や共通の思い出が増える。たとえば、10種類のデパ地下弁当を用意して並べたときは、『どれにしようか?』『中身は何かな?』とその場で会話が弾むことを狙いました」(岡田さん)

女性社員も挑戦。「しれとこ」のスタッフがコツを教えてくれる

 その意味で、今回の餅つきは大成功だった。この日用意されたもち米は約50キロ。わくラボスタッフのひとり、中村仁さんの実家が営む飲食店「しれとこ」(江戸川区)の協力を得て、その場でもち米を蒸し、つきたての餅を振舞った。餅つきには派遣スタッフを含む従業員たちも参加。実際に杵を持った感触を「重たい」「結構難しいね」などと口々に言い合いながら、和気あいあいと餅をついた。実際に体を動かしてみる体験は新鮮。これが銀座の真ん中だからなおさらだ。

 用意したのは、あんこ、大根おろし、くるみの3種類とお雑煮。くるみ餅は、くるみをすりつぶして砂糖を入れたシンプルな味付けだが、素朴な甘味が新鮮に感じた。お雑煮は羅臼昆布で出汁をとり、醤油で味付けした「しれとこ」オリジナル。餅のほかに、タケノコ、シイタケ、ミツバが入っている。従業員全員に3種類の餅とお雑煮が用意されているほか、お土産用の餅も。これは、「家に帰ってから今日の話を家族に話したり、一緒に餅を食べたりして家族とも体験を共有してほしい」という思いからなのだという。

急成長したベンチャー企業
スタッフのコミュニケーションは必須

 餅つきを行うまでは念入りに準備を重ねた。「しれとこ」のスタッフたちは年末年始の間に事前に何度か「練習」を行い、当日に備えた。わくラボのメンバーは、消防庁やビルの管理会社に連絡し、ビルの共用スペースで火を使ってもち米を蒸していいのか、餅つきをしていいのかを確認。テント設備も用意した。「餅つきはやっぱり空の下で」にこだわったからだ。1day社食の月予算は決まっているが、今回は少し超えてしまったそうだ。「そこは熱意で通しました」と笑う岡田さん。この取り組みを岡田さん自身が楽しんでいる様子が伝わってくる。

 業務であるとはいえ、入社3年目の彼がここまで福利厚生のために力を尽くすのはなぜ? それを聞くと、「会社の価値観のひとつに『最高にこだわる』ということがあるので、やるなら社食も本格的にやりたいと思っています」と答えが返ってきた。


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