JR中央線中野駅の北口を出ると、正面には商店街。左手は開けていて、大学やオフィス街につながる道路と歩道橋がある。人通りが多く、学生や主婦、近隣住民らしき人やビジネスパーソンまで、老若男女さまざまな人たちが歩いている。中野サンプラザと中野区役所の前を通り抜けたところにある中野セントラルパークは2012年5月末に竣工。低層階にはショップやレストランが入り、高層階はオフィスとなっている。1万人以上が働くというセントラルパークの南館に、キリンホールディングスの本社はある。
「Nagomi」からは
富士山、スカイツリーも見える
キリンホールディングスが本社を中野に移したのは昨夏。それまでは原宿に本社ビルを置き、グループ会社15社も八丁堀、渋谷、広尾などそれぞれに拠点を持っていた。これらを一箇所に統合するための場所に選んだのが中野だった。
今回の「社食取材」は、いつもと少し違う。そもそもキリンホールディングスには「社員食堂」という名前の場所はない。社員が食事をする場所は、マルチスペース「Nagomi」と名付けられている。弁当販売はあるが、厨房はなく、いわゆる「社食メニュー」は存在しない。その理由は後述するとして、まずはNagomiがどんな場所かを説明しよう。
18階にあるNagomi。周囲に高層ビルが少ないこともあって南向きの窓からの見晴らしは良く、晴れていれば富士山やスカイツリーが見えることもあるという。約1500坪のフロアには黄・青・緑、3色の椅子が囲む白いテーブル、1人用のカウンター席、ソファ席。無線LANが備えられ、キリンのアルコール商品が並ぶバーカウンターやプロジェクターも。「マルチスペース」という名の通り、昼食の場、研修や会議、勉強会、個人的なワーク、プレゼンテーション、宴会までさまざまな用途に使われている。
「どこにも境を作らないで、校庭の賑わいを作りたいというイメージでした」と話すのはグループ本社移転プロジェクト・プロジェクトリーダーの井上宏さん。