2024年11月19日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年11月19日

 彼の側近には、中国との離反を望む者や逆に習近平との自由化交渉が可能だと考える者もいるだろう。トランプは、何のために如何なる手段を使うかにつき統一された計画を持たないで政権に入ると言う人がいるが、それは正しい。

 また彼の役人達皆が同じ方向を向いている訳でないことも正しい。しかし、彼が今述べている多様な手段は、少なくとも政権内部の抗争が如何に戦われるかを判断する材料にはなる。

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トランプ政権との交渉に必要なこと

 11月5日の米国大統領選挙は、トランプの驚くべき勝利となった。一般得票でもトランプが勝っている(トランプ7264万票、ハリス6795万票)。上下両院でも共和党が過半数を制した。

 上記記事は大統領選を間近に書かれたものである。ビーティはこの記事で、トランプの貿易政策は、論理より政権内部の抗争を通じて決まっていた、第二期政権でもそれと同じことになるだろう、「トランプの貿易政策は偏見と矛盾の混乱」だとの見方には一理あると述べる。

 さらにトランプは「少なくとも5つの矛盾する、全く実現不可能な政策を掲げている」として、①すべての貿易相手国に対する関税を10%または20%引き上げる、②中国からの輸入品に対しては関税を60%以上に引き上げる、③連邦所得税を関税収入で置き換える(それは物理的に不可能だが)、④相手国の関税に相当する関税を課す「相互貿易法」を制定する、⑤時宜に応じてドル安を促進することを挙げる。

 ビーティはトランプ第一期政権につき、EUはナバロとクドローの競争関係を利用し、より自由貿易主義のクドローを相手にすることにより米国の自動車関税引き上げを回避したと述べている。側近の間の競争関係は、程度の差はあれ何時の政権でも同じだが、ビーティが述べるような成功話は興味深い。


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