主役の天海の真壁刑事は、警察官の夫を事件で亡くして、ふたりの子どもを育てる母親でもある。同僚たちから「おばさん」扱いをされている。
さっそうとした天海のイメージとは異なる、新しいフィールドで名脇役たちに囲まれて、生き生きとした演技を続けている。
夫の死をめぐるサスペンスの物語
ドラマは第5話に至って、夫の死に警察の上層部の秘密が絡んでいるのではないか、と真壁が推測するようになる。
「緊急」は、1話ごとに殺人事件の謎を解きながら、真壁の夫の死をめぐるサスペンスの物語であることがわかってくる。
主婦に巧みにすりよって、宝石の詐欺売買を手掛けていた男が、ボストンバックのなかに詰められて発見される。
ボストンバックを引きずる犯人を見たという、目撃者に3人の主婦が名乗りをあげる。
家族と暮らす老婦人と、高級マンション暮らしの主婦、そしてふたりの子育てに追われる裕福ではない女性である。
それぞれは互いに境遇も異なる。真壁の事情聴取によって、犯人の似顔絵が作られる。目撃者の3人はそれぞれ別の場所から、しかも夜の遠目にみているので、犯人の印象は異なるはずなのに、完全に一致する。
真壁は3人が相談して、ある犯人像を形作っているのではないか、と推理する。
3人を同時に呼んで、突き詰めると、彼女たちは殺された詐欺師の被害者であることがわかる。しかも、その詐欺師を追って、だましとられたカネを取り戻そうとする途中で、遭遇したのである。