年末年始、何かと忙しい日々が続きますが、2025年に向けて読んでおきたい本をピックアップしました。
世界のリアルを暴く
『西洋の敗北 日本と世界になにが起きるのか』エマニュエル・トッド(著)、大野 舞(訳)
文藝春秋 2860円(税込)
「ウクライナの敗北はすでに明らかだ」などと言えば、「プーチン(ロシア)を支持しているのか?」と非難する人がいるかもしれない。もちろん、プーチンを支持しているわけではないが、フランスの歴史人口学者であるトッド流の視点で西側世界の「不都合な真実」を論じていくのが本書の真骨頂だ。ロシアはウクライナに勝つべきではない。それでも勝つ可能性がある。それはなぜなのか考えておくことは重要だ。西側社会が抱える深刻な課題を浮かび上がらせていく。
危険な武装勢力
『神と銃のアメリカ極右テロリズム』ブルース・ホフマン、ジェイコブ・ウェア(著)、田口未和(訳)みすず書房 4950円(税込)
2024年の米大統領選挙では、トランプ前大統領が落選すれば「内戦が起こるのでは?」と、危惧する声もあった。それだけ21年1月の連邦議会襲撃の衝撃は大きかった。現実を受け止めようとせず、まさに「神と銃」を信奉したり、人種、性別、宗教などで人を差別したりする集団がいる。ここには、16年のトランプ大統領、08年のオバマ大統領の誕生ではなく、もっと長い40年以上にわたる歴史がある。「極右テロリズム」がどのように米国内で根を張ってきたのか振り返る。