「タイパ」ではない、手間が生むもの
最近「タイパ(タイムパフォーマンス)」などと、「時間対効果」が求められることが多いですが、それによって失われること、実現できないことも少なくないと思います。
実は、私がこの「きみごろも」のことを知ったのは、尊敬する人の一人で、保険営業のプロの女性から、お土産でいただいたからです。あるとき、東京で夜開催する会合のために、朝から奈良に行って「きみごろも」を買ってきたというのです。奈良に行くだけでもすごいと思っていましたが、実際に、自分自身で行ってみるとその「手間」を実感することができました。
JR大阪駅から行く場合、大阪環状線から鶴橋駅で近鉄に乗り換え、長谷寺駅の次、榛原駅が最寄り駅になります。ここまで約1時間半です。それからタクシーで約20分。ここまで行ってわざわざお土産を買ってくれたのかと思うと、感動的ですらあります。しかも、このように実際に行くことで、その手間を受け取った相手が感じてくれるのはむしろ稀です。
そうだと分かっていても、その手間を惜しまない。「お土産〝道〟」というものがあるとすれば、彼女は達人レベルと言えると思います。人を思いやる彼女の真髄を思い知らされました。だからこそ、保険の契約もとることができるのでしょう。
私たちが取材している間にも、多くのお客さんが車でやってきて、県外ナンバーも見られました。手間をかけたからこそ得られる逸品なのです。