2025年1月5日(日)

Wedge REPORT

2025年1月3日

 曜日の並びが良く9連休にもなった今回の年末年始。忘年会やお正月、新年会と、カニやウナギといったご馳走を堪能した人も多いのではないだろうか。

(gyro/gettyimages)

 しかし、そうした高級食材が日本の食卓から消えてしまう可能性もある。不徹底な資源管理によって年々漁獲量が減っていく日本の漁業。対策を講じなければ、私たちの楽しみもなくなっていく。

 漁業の課題を指摘した記事を紹介します。

<目次>

・〈このままでよいのか?日本のズワイガニ漁〉世界ではやらないメスの漁獲、輸入に頼り続けることに(2024年11月13日)

・「大幅資源回復の見込み」でも山積するクロマグロ管理の課題、変わらぬ不正・隠ぺい体質でマグロが食卓からなくなる(2024年8月28日)

・<問題は「土用の丑の日」にあらず>減少の一途となるウナギ、消費に適正上限を(2024年10月22日)

・〈気仙沼港に100キロのクロマグロが出現!〉地元からも「こんなこと、100年に一度」の声、実はクロマグロが増えている理由、「成功体験」を資源管理に活かせ!(2024年4月16日)

・〈スーパーに並ぶズワイガニの「バルダイ種」って何?〉ビジネスチャンスを失っている日本のもったいない使い方(2024年12月27日)

〈このままでよいのか?日本のズワイガニ漁〉世界ではやらないメスの漁獲、輸入に頼り続けることに(2024年11月13日)

日本海で水揚げされたズワイガニ 大きい上が雄で小さい下が雌(筆者提供)

 冬の味覚、日本海のズワイガニ漁(富山県より西)が、2024年も11月6日に解禁されました。毎年初競りが話題になり、雄のズワイガニが高値で落札されています。資源管理が功を奏し、日本海西部の漁獲枠は前年比で1割増えて、8年ぶりの高水準になっているとも言われています。 

 確かに、TAC(漁獲可能量)の設定や、各都道府県による水揚げの規制などが行われているようです。ただし、本当に回復しているといえるのでしょうか? 他国のズワイガニ漁と比較するとどうなのか、日本のメディアでは国内のズワイガニ漁のみにフォーカスを当てているのでよくわからないと思います。

 一般人が食べるズワイガニの大半は、国産ではなくロシア、北米、ノルウェーなどの国々です。報道がないので一般には知られていませんが、海外と比較して現実を直視すると驚くことでしょう。その一例として、大きくズワイガニの資源量を増加させているノルウェーと比較してみましょう。

【つづきはこちら】

〈このままでよいのか?日本のズワイガニ漁〉世界ではやらないメスの漁獲、輸入に頼り続けることに

「大幅資源回復の見込み」でも山積するクロマグロ管理の課題、変わらぬ不正・隠ぺい体質でマグロが食卓からなくなる(2024年8月28日)

マグロを食べ続けるためには、漁や流通における監視取り締まりの仕組みが不可欠だ(linegold/gettyimages)

 ―― クロマグロがより身近に ―― そんなニュースが今年の夏のニュースを飾った。太平洋クロマグロの国際的な管理を話し合うため7月に北海道・釧路で開かれていた「中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)・全米熱帯まぐろ類委員会(IATTC)合同作業部会」および「WPCFC北小委員会」で、太平洋クロマグロのうち30キログラム(㎏)未満の小型魚の漁獲枠を1割増、大型魚の漁獲枠を1.5倍増とすることを柱とする案が合意されたからである。

 特に問題がなければ12月に開催予定のWCPFC本委員会で、北小委員会で合意された案が正式に採択される。日本の大型クロマグロの漁獲枠は現在の約5600トンから約2800トンの増加となる予定だ。

 太平洋クロマグロに関しては、2010年代初めに資源が危うい状態にあることが認識されるようになった。この資源の国際的な評価を行っている「北太平洋まぐろ類国際科学委員会(ISC)」は、親魚の資源量(「産卵親魚資源量」と言う)が初期資源量比で約4%と資源状態が劇的に悪化しているとの評価を下したのである。

【つづきはこちら】

「大幅資源回復の見込み」でも山積するクロマグロ管理の課題、変わらぬ不正・隠ぺい体質でマグロが食卓からなくなる

<問題は「土用の丑の日」にあらず>減少の一途となるウナギ、消費に適正上限を(2024年10月22日)

「土用の丑の日」を迎え、焼き上げられるうなぎ=7月24日午前、東京都豊島区の「鰻家」(JIJI)

 2024年は年間6回ある「土用の丑の日」。しかし、ウナギはその日のためだけに存在するのではない。日本で獲れる「ニホンウナギ」は、環境省でも、国際自然保護連合(IUCN)でも、絶滅危惧種としてレッドリストに区分されている。なぜ、このような状況になったのか。そして資源を保全していくためには何が必要なのか─。

 このプロセスを考えていくことは、実は様々な社会問題を考えることにもつながっていく。このほど、『日本のウナギ 生態・文化・保全と図鑑』(山と渓谷社)を上梓した、中央大学法学部教授で、保全生態学を専門とする海部健三氏に話を聞いた(聞き手/構成・編集部 友森敏雄)。

 天然のニホンウナギの漁獲量は減り続けている。1960年代には3000トンを超える年もあったが、2023年には55トンまで減っている。これに養殖とニホンウナギ以外の種を合わせたウナギの供給量全体で見ても5万2280トンで、ピークだった00年の15万8094トンから3分の1程度になっている。

【つづきはこちら】

<問題は「土用の丑の日」にあらず>減少の一途となるウナギ、消費に適正上限を

〈気仙沼港に100キロのクロマグロが出現!〉地元からも「こんなこと、100年に一度」の声、実はクロマグロが増えている理由、「成功体験」を資源管理に活かせ!(2024年4月16日)

一時期は危機に直面していたクロマグロ資源の今は?(LUNAMARINA/gettyimages)

 先日、所用があって東北地方有数の漁港、気仙沼を訪れた際、珍しい場面に遭遇した。港の奥深く、漁船が泊まる岸壁に、クロマグロが姿を現し、悠然と泳いでいたのである。港を案内してくれた漁業者の方によれば、100キログラムはあるだろうと言う。

 「こんなことは、今までにほぼ見たことがない」と地元の人は口を揃え、珍しい光景を見に人々が集まってくる。「新聞社を呼んだほうがいいんじゃないか」との声も聞こえてくる。「100年に1度あるかないかというようなものを見ましたね」と案内してくれた方も言う。

気仙沼湾内に姿を現したクロマグロ(筆者撮影)

 さすがに湾内にクロマグロが姿を現すのを見かけるのは非常に珍しいことであるかもしれない。しかし、クロマグロが急速に増えているとの声は各地の漁業者からしばしば聞くようになっている。

【つづきはこちら】

〈気仙沼港に100キロのクロマグロが出現!〉地元からも「こんなこと、100年に一度」の声、実はクロマグロが増えている理由、「成功体験」を資源管理に活かせ!

〈スーパーに並ぶズワイガニの「バルダイ種」って何?〉ビジネスチャンスを失っている日本のもったいない使い方(2024年12月27日)

ズワイガニに貼られている「バルダイ種」という表示(筆者提供)

 今年(2024年)も年末を迎え、売り場にはたくさんのカニが並ぶようになりました。その中で目に付く、見かけない表示があるのに気づかれた方もいるのではないでしょうか?

 その表示とは、ズワイガニのパックに貼られている「バルダイ種」という表示です。

 バルダイ種は別名「大ズワイガニ」です。ズワイガニにはオピリオ種とバルダイ種の主に2種類があり、数量的に多いのは前者の方です。皆さんがこれまで主に食べてきているズワイガニもほとんどがオピリオ種です。

 ただし、売り場でこの2種類を分けて販売するというケースはあまりなく、ズワイガニとして扱われてきました。それではなぜ「バルダイ種」と明示しているのでしょうか?

 そこにはやや深い意味があります。日本がズワイガイを輸入している、カナダ、ロシア、ノルウェーといった産地のズワイガニはオピリオ種主体です。

【つづきはこちら】

〈スーパーに並ぶズワイガニの「バルダイ種」って何?〉ビジネスチャンスを失っている日本のもったいない使い方

連載「日本の漁業 こうすれば復活できる」の記事はこちら
Facebookでフォロー Xでフォロー メルマガに登録
▲「Wedge ONLINE」の新着記事などをお届けしています。

新着記事

»もっと見る