米国を含んだ三カ国防衛協力の中心はマラバール年次演習である。これは、名目上は米印二国間演習だが、しばしば日本も参加している。これらの演習の性質、演習への参加のレベルは、三カ国の安保協力の進展ぶりの最もよい指標となろう。さらに、インドの2014年のRIMPAC参加は、インド太平洋の多国間防衛協力におけるインドの役割の定義づけを前進させるもう一つの重要なステップである。
協力を深化させるべき明白な論理があるにもかかわらず、なぜ、三カ国の安保協力は、まだ期待されるレベルまでは到達していないのだろうか。一つには、脅威の認識が明確には共有されておらず、しかも、必ずしも緊急のものとは考えられていない。米日印が、それぞれ限られたリソースの下で行動しなければならないことにも留意すべきである。
各政府には、三国間協力についての政治的躊躇もある。日本には、普通の軍隊を持つことへの躊躇がある。インドは、米国との相互協力にまだためらいがある。多くのインドの政治指導者は、反米のポーズから得られるものがあると考えているように見える。そして、米国は、主に歴史的理由から、日本の軍事的台頭に躊躇を覚えている。米国の姿勢がおそらく最も強い影響を持っているであろう。もし、米政府が、アジアで最も緊密な同盟国と、アジアにおける主たる競争国の間の領土紛争(注:日中間での尖閣をめぐる紛争)で、中立的な立場をとるならば、米印関係を緊密化することは困難になる。
安倍総理にとって、日印米間の安全保障協力を促進する要因、現実、制限要因を頭に入れておくことも重要であろうが、同様に、日本とのより良い関係についてインドで幅広い政治的コンセンサスがあるという、極めて大きな機会にも留意すべきである。安倍総理は、靖国参拝で、北京、ソウル、ワシントンの機嫌を損ねたかもしれないが、インドは、共和国記念日のパレードの主賓にするという、華やかさと儀礼を以て、彼を大いに歓迎する、と述べています。
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ジャイシャンカーは、ニューデリー生まれで、米、日、チェコ、ハンガリー、スリランカに在住した経験を持ち、German Marshall Fundでは、1年おきに開催される、米、インド、欧州の戦略対話India Trilateral Forumを主催している人物です。
最近のすべてのインド系評論家に共通なことは、日本について、批判がましいことは一切言わず、日印協力、日米印協力の推進を支持していることです。