米German Marshall Fund研究員のジャイシャンカーが、1月の安倍総理訪印に際して、1月24日付National Interest誌ウェブサイト掲載の論説で、日米印の安保協力強化の進展にはそれが容易でない要素があることを指摘しつつ、安倍総理訪印が日印関係をさらに発展させることに期待を示している。
すなわち、インド政府が安倍総理を共和国記念日のパレードの主賓として招いた意図は、計算されたものであったに違いない。それは、インドは、日本が「普通の」軍事力を持った国家として台頭することを促進したい、という明確なシグナルである。
昨年の東京でのスピーチで、マンモハン・シン首相は、日本を、インドの「自然で不可欠なパートナー」と呼び、両国には、「共通の価値と利害関係」と「民主主義、平和、自由への共通のコミットメント」がある、と言った。
印日間でこうした「戦略的盟約」が急速に出来ていることについて、ワシントンが注意を払っているかどうかはっきりしない。防衛上のパートナーとしての米国への懐疑が、印日間の雰囲気をより良いものにしているのかもしれないが、米日印すべてに、三カ国の安全保保障協力にさらに投資すべき十分な理由がある。
一つには、中国の興隆と振る舞いが、三国すべてにとって、明確な脅威となっている。中国は、何ら気の咎めもなく、インド、日本によって実効支配されている領域への主権を主張し、最も明白な米国の競争相手でもある。この競争関係は、経済の分野にも及んでいる。
三国には、中国の問題を越えて、安全保障問題でより緊密に協力すべき理由がある。米国が戦略上の削減を強いられる中、日印との、とりわけ海洋における協力は、インド太平洋の安全保障構造の維持にとって、ますます重要となるであろう。大量破壊兵器の不拡散も、共通の関心事であり、協力できる分野である。
価値観についての幅広い一致もある。日本の新しい国家安全保障戦略は、インドは「普遍的な価値と戦略的利害関係」を共有する国である、と明確に言及している。三国は、現状維持とルールに基づいた国際秩序を希求する点で一致している。これらの価値は、アジアにおける紛争を管理するための、協議のメカニズムと原則を保証するであろう。
しかし、より緊密な協力を促す明白な要因にもかかわらず、これまでのところ、三国の安全保障協力を特徴づけているのは、現実というよりも、約束事である。確かに、政治的、実務的対話は、特に日印間で重要な進展を見せている。日印間には2プラス2があり、2012年には、日印は初の二国間海軍演習を実施した。それは先月再び行われ、今年の後半にも行われる予定である。小野寺防衛大臣は、二国間協力を空軍にも拡大する可能性について言及している。