【2014年2月24日 財経網(抄訳)】
汚職額1億1000万元(約16億円:筆者)、56人の省代表(日本だと県議会議員に相当:筆者)、518人の人民代表大会代表(市議会議員に相当:筆者)、68人の職員が関与した衡陽市の選挙汚職は1949年以降、最大規模で金額も最多の選挙汚職事件である。
中国共産党のトップ習近平総書記(習近平は国家主席、共産党総書記、中央軍事委員会主席の3つのポストを兼任するが、党会議では総書記の肩書で参加:筆者)は、党規律検査委員会の会議(第18期第3回会議)においてこの事件について時間を割いて語り、党の建設と国のガバナンスについて憂いたという。
湖南省党委員会の徐守盛書記(共産党が政権を掌握する中国では各自治体のトップは省長ではなく、党委員会書記:筆者)は「賄賂によって選挙を台無しにするのは社会民主政治への挑戦であり、国の法律への挑戦であり、党規律への挑戦であり、レッドラインを越え、電気の通じた高圧線に触れた」と指摘し、人々が検証する鉄のケースとしなければならない、と主張した。
「両会」の開催時期に影響
2014年の湖南省で開かれる「両会」(人民代表大会と政治協商会議の二つの会議を合わせた略称;中央だけでなく地方でも同様に二つの会議が同時期に開かれる:筆者)はいつもよりも開催が延期され、2月9日になってやっと湖南省の省都、長沙市で開催されることになり、省内各市や州から代議員たちが会議会場である4つのホテルに集まった。
いつもなら会議後に旧暦の正月を迎えるはずだが、今年は初めて新年が明けてから開催された。湖南省の全人代の部内者によると、会議の遅延は衡陽の選挙汚職の解決がされなければならなかったからだったという。
これより2カ月前の2013年12月27日、28日に湖南省の人民代表大会常務委員会は全体会議を開き、衡陽市の会議期間中に贈収賄によって当選した56人の省代議員の当選を無効と発表した。28日には衡陽市傘下の県(市・区)の人民代表大会常務委員会もそれぞれ会議を開き、512人の衡陽市代議員を辞職させることを決定した。
衡陽市党委員会の童名謙書記(彼は同時に湖南省の政治協商会議副主席〔県議会副議長のような地位:筆者〕に昇任したばかりだった)は監督責任を問われ、党中央規律委員会による捜査対象として立件された。嫌疑を受けている衡陽市の代議員は大別すると民間企業家、市の幹部、国有企業の高官という3種類に分けられ、後者2つの贈賄費用の出所は自分の所属組織であった。