シーレーンの封鎖は日本の命運を左右することになる。今も紅海でのフーシ派の攻撃のために、多数の船がスエズ運河を避けて喜望峰を経由している。台湾有事となれば、台湾周辺だけでなく、東シナ海や南シナ海、セレベス海、スールー海が戦闘海域となり、マラッカ海峡・ロンボク海峡も使えなくなる。国民はパニックになり、日本国内は相当に混乱するであろう。
商船が一隻でも撃沈されれば
迂回航路は大回りに
GDP世界第4位の日本経済を支えているのは、わずか4000隻の船舶である。そのうち、約6割にあたる2206隻を日本商船隊が担い、そのうち、日本の法律に則り運航される日本籍船は285隻で、全体の約13%しかない(22年の年央ベース)。そして、残りのおよそ9割が外国籍船で占められている。さらに、日本商船隊の運航のほとんどはフィリピン人船員が担っている。
台湾周辺が戦闘水域に指定され、機雷が敷設されたり、潜水艦が航行したりしている状況では、海上保険会社は船舶保険の付保を拒否し、船主は一斉に船を引き揚げるだろう。政府が保険をカバーするとしても、商船隊は太平洋を大きく東側に回り、いったん十分に北上して中国潜水艦の攻撃をかわす以外に方法はない。仮に1隻でも商船が撃沈されれば、その海域を避けて迂回航路はさらに大回りとなる。最悪の事態は、豪州の南極側を通り、小笠原諸島東部を回る大迂回路となり、数千キロ・メートルの大回りを余儀なくされる。時間もお金もエネルギーも大きく浪費することになる。しかも機雷は戦争が終わるまで撤去できない。また終わってもすぐには撤去できないため、影響は長期間にも及ぶ。
食料に限っていえば、
※こちらの記事の全文は「食料危機の正体 日本の農業はもっと強くできる」で見ることができます。
