2025年3月26日(水)

トランプ2.0

2025年3月10日

これがMAGA

CPACで販売されたトランプグッズ

 トーマス・ファイファー氏は、サウジアラビアなど中東でビジネスをした経験があり、すでに退職している60代以上の白人男性だ。彼は妻を同伴してシカゴからやってき来た。

 筆者が、トランプがJ6erに与えた恩赦に賛成するか尋ねると、彼は困惑した表情を浮かべた後に、こう回答した。

「確かにJ6erは悪いことをしましたが、米国のメディアは彼らをかなり悪い人物として報道しました。それが問題です」

 ファイファーはJ6erに同情を示した。しかし、彼の回答には、トランプ流と言える「すり替え」が見える。

 中西部インディアナ州から参加した黒人の保守派デビッド・ブルックス氏は、非常にフレンドリーな性格で、多くの来場者に見られるように妻を同伴していた。彼にも同様の質問を投げかけてみると、彼は自信を持ってこう語った。

「私は、トランプがJ6erに恩赦を与える大統領令に署名したことに賛成です。FBI(米連邦捜査局)がJ6erを煽ったので、連邦議会議事堂襲撃事件が発生したのです。カシュ・パテルFBI長官がこれから調査をして、真実を明かします」

 ブルックスは、扇動したのは事件直前に演説を行い、連邦議会を指さしたトランプや、タリオではなく、FBIであるという立場をとっていた。

 4日間の大会中、筆者は2日間ファイファー夫妻と、3日間ブルックス夫妻とランチをするなど行動を共にした。そこで、「トランプ1.0」と「トランプ2.0」におけるMAGAの相違点も発見した。

 ファイファーがこう言ったのだ。

「私はもうFOXニュースを観ません。Newsmax(ニュースマックス)を観ています」

 ニュースマックスは2014年に設立された新興の極右メディアである。ファイファーは、保守系のFOXニュースよりも、もっと強い刺激を求めてニュースマックスを好んで観ていた。筆者には、現在、米国社会で問題になっている鎮痛剤フェンタニルで満足しない麻薬中毒者が、さらに強いカルフェンタニル(ニックネーム「スーパーマリオ」)を摂取するかのようにみえた。

 大会中、トランプが自分はニュースマックスを選択するという広告が大スクリーンに繰り返し流れていた。そこで筆者は合点がいった。

「トランプ1.0」と比べ、「トランプ2.0」のMAGAは、さらに極端な方向へ向かっている。それはトランプがそう仕向けていたのだーー。


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