ある民主党支持者がみるトランプの「黄金時代」
筆者は、DEIとチームビルディングを関連づけて、DEIのメリットを重視している。チームを構成する際に、チームメンバーの多様な価値観、ものの見方並びに考え方のパターンの多様性が、ソリューションを出す際にプラスに作用する例が多数報告さているからだ。筆者はイベント会場で、複数のトランプ支持者にDEIに関してヒアリングを行ったが、このような意見は全くみられなかった。経営者にとって、DEIは研修のコストがかかるのだ。
トランプ支持者が集まるイベントでは―もちろん、少数派もいるにはいるのだがーーDEIを感じ取ることができない。率直に言ってしまうと、白人中心のトランプ支持者にとってDEIは、「白人の敵」なのだ。
DEIに関してホワイトハウスは、トランプの首席補佐官のスージー・ワイルズや国家情報機関のトップ、トゥルシー・ギャバードは女性であり、財務長官のスコット・ベッセントは同姓愛者であると反論する。しかし、トランプ2.0の人事は、トランプに対する過度な忠誠を基準しており、その結果、多様性が生まれたとみるのが自然だ。
こうやってみてくると、トランプと現在のCPACは完全に一体化しており、彼らは極右団体を利用し、DEIを排除して、移民を厳しく制限し、白人に対する非白人の脅威を取り除こうとする。タリオのCPAC参加を許可したことが、それを裏付ける。
そして最終的目標は、白人の米国に取り戻すことーーこれが、トランプが就任式から主張している米国の「黄金時代」であり、2016年から続いているMAGA運動の核となるところであろう。
CPACの後、筆者は首都ワシントンに滞在して残って、今度は民主党下院議員や支持者を中心にヒアリング調査を続けた。その中の一人、牧師を対象に異文化コミュニケーションのトレーニングを実施しているプエルトリコ系米国人カレン・サンチアゴ氏に、トランプの言う米国の黄金時代について尋ねると、彼女は一言でこう表現した。
「米国を再び白人の国にする(Make America White Again: MAWAマワ)ことです」。