
ドナルド・トランプ米大統領は14日、アメリカが提案したウクライナでの停戦案について、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と13日に「生産的で非常に良い」協議を行ったと明らかにした。
プーチン氏は13日夜にロシア・モスクワで、アメリカのスティーヴ・ウィトコフ中東特使と面会。クレムリン(ロシア大統領府)は、和平プロセスに対するアメリカの「慎重な楽観論」を共有したとしていた。
トランプ氏は14日、自分のソーシャルメディアサイト「トゥルース・ソーシャル」で、プーチン氏との協議は「この恐ろしく血なまぐさい戦争が最終的に終結するための、非常に良い機会」をもたらしたと投稿した。
こうした中、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、プーチン氏が戦争を続けるために和平協議を先延ばしにしようとしていると非難した。イギリスのキア・スターマー首相は、プーチン氏が停戦の提案を「もてあそぶ」ことは許されないと述べた。
ウクライナは11日、サウジアラビアでアメリカとの高官協議を行い、アメリカが提案したロシアとの30日間の停戦案を受け入れる用意があると表明した。
一方でロシアは、この停戦案にまだ同意していない。
プーチン氏は13日、モスクワでの記者会見で停戦案について、「アイデアは正しい。私たちはそれを支持する。だが、議論が必要な疑問がある」と述べ、いくつかの厳しい条件を提示した。
このプーチン氏の発言に対し、ゼレンスキー氏はプーチン氏が事態を「操ろうと」していると批判した。
ゼレンスキー氏は14日、「プーチンはこの戦争から抜け出すことができない。そうすれば(プーチン氏には)何も残らなくなるからだ」などの非難を、ソーシャルメディアに連投した。
「だからこそ(プーチン氏は)今まだ停戦していないのにも関わらず、はじめから極めて難しく受け入れがたい条件を設定して、外交を妨害しようと、あらゆる手を尽くしている」のだとゼレンスキー氏は書いた。
さらに、プーチン氏が「果てしない話し合い」に全員を「引きずり込む」ことで、「(ロシアの)銃が人を殺し続ける間、無意味な話し合いに何日も、何週間も、何カ月も無駄に費やす」ことになってしまうと書いた。
「プーチンが出す条件はすべて、外交を妨げるためのものだ。これがロシアのやり方だ。こうなると我々は警告していた」
スターマー英首相は、クレムリンがトランプ氏の停戦案を「全く無視」しており、これはプーチン氏が「和平について真剣ではない」ことを示すものだと述べた。
「ロシアが最終的に交渉のテーブルに着くなら、我々は停戦が確実に真剣かつ恒久的なものになるよう、監視体制を整えなくてはならない」、「ロシアが応じないなら、この戦争を終わらせるために、ロシアへの経済的圧力を全力で強化する必要がある」と、スターマー氏は述べた。
スターマー氏は15日、25人の各国首脳とビデオ協議を行う予定。3日にロンドンで開かれた欧州首脳会合で提案された平和維持活動について、話を進めるという。
3日の会合後にスターマー氏は、イギリス、フランス、その他の国々で「有志連合」としての取り組みを強化していくと話していた。この「有志連合」は、アメリカの停戦案が発行した場合に、ロシアによる将来の侵略を阻止するというもの。
ウクライナは「強力な措置」求める、アメリカは「和平に近づいている」と
ゼレンスキー氏は14日、プーチン氏は自分で戦争を止められないのだとし、「ロシアに影響を与えることができる全ての人、特にアメリカに対し、助けになるような強力な措置を取るよう、強く」求めると、ソーシャルメディアに投稿した。
また、「プーチンは戦場の実情や(中略)死傷者数、本当の(ロシアの)経済状況について、うそをついている」、プーチン氏は「外交を失敗させるためにあらゆる手を尽くしている」とした。
しかし、ホワイトハウスは、両者が「これまでにないほど平和に近づいている」と考えている。
ホワイトハウスのキャロライン・レヴィット報道官は記者団に対し、13日にモスクワで行われたプーチン氏とウィトコフ氏の協議は「生産的」なものだったと主張した。
レヴィット氏は、トランプ氏は「正しいことをするよう、プーチン氏とロシアに圧力をかけている」とも付け加えた。
トランプ氏は14日の投稿で、ロシア軍に包囲されたウクライナ兵の命を救うよう「強く要請」するとともに、第2次世界大戦以来の「恐ろしい大虐殺」が起こり得るとした。
この投稿に先立ち、プーチン氏はロシア南西部クルスク州で戦うウクライナ部隊が「孤立」し、撤退しようとしていると述べていた。ロシアはこのところ、ウクライナ軍がクルスク州への越境攻撃で掌握した領土を奪還するため攻勢を強めている。
ウクライナ軍参謀本部は14日、プーチン氏の主張は「虚偽で、でっち上げ」で、自軍が包囲されている事実はないと否定した。
同軍は声明で、作戦は継続しているとしつつ、部隊を撤退させ、より最善な防衛位置への「再編に成功」したと説明した。
「我々の部隊が包囲されるという脅威はない」
トランプ氏の要請を受け、プーチン氏は、クルスク州にいるウクライナ兵が武器を放棄して降伏すれば、彼らは「国際法とロシア連邦の法律に沿った尊厳ある扱い」を受けるだろうと述べた。
G7、「無条件での停戦を」
こうした中、主要7カ国(G7)はカナダ・ケベック州で会合を開催。主催国カナダのメラニー・ジョリー外相は、ウクライナが支持するアメリカの停戦案に7カ国すべてが同意したと述べた。
「我々は今、ロシアの反応を注視している。結局のところウクライナに関して、ボールは今、ロシア側にある」
会合に出席したイギリスのデイヴィッド・ラミー外相は、「無条件」での停戦を求めることでG7は一致したと述べた。
会合後、アメリカのマルコ・ルビオ国務長官は、アメリカはソーシャルメディアや記者会見での各国首脳の発言をもとに外交政策を決定したりしないと述べ、「この戦争を終わらせる手段は、交渉を通じての手段しかない」と強調した。
(英語記事 US had productive talks with Putin over Ukraine war, Trump says)