2024年12月26日(木)

Wedge SPECIAL REPORT

2022年7月21日

政府と日本学術会議の関係性には、無数のひびが入っているように見える (WEDGE)

 「はっきり言って面倒だった。正式な手続きを経て採択されているのに、なぜ抗議されないといけないのか。マスコミを連れて大学に行くとまで言われて……。ここまでされるとは思ってもみなかった」

 防衛装備庁が大学や企業を対象に公募し、資金を助成する「安全保障技術研究推進制度」に応募し採択されたある大学の幹部から今年4月、匿名を条件に小誌編集部に情報提供があった。

 「こうした事実を世の中の人たちに知ってもらいたい。抗議はわれわれの大学だけでなく、他の大学にも来ている」。幹部はこう言ってある団体からの抗議内容を教えてくれたのである。

 その団体とは「軍学共同反対連絡会」。ホームページを見ると、「大学や研究機関における軍事研究(軍学共同)に反対する団体・研究者・市民が参加する連絡会として、2016年9月に設立」されたとある。

 小誌が各種報道から収集した情報によれば、同制度に採択された大学のみならず、中には応募すらしないよう求められた大学もある(下図)。軍学共同反対連絡会の事務局を務める浜田盛久氏は「マスコミにも訪問する旨を情報提供した上で地域の市民や研究者の代表として赴き、団体としての考えを伝えている」という。

市民団体の反対活動が助成金の辞退
につながったとされる報道もある

(出所)各種報道を基にウェッジ作成 写真を拡大

 同制度について、防衛装備庁装備政策課の担当者は「防衛分野での将来における研究開発に資することを期待しており、先進的な民生技術に関する基礎研究を公募するもの。成果の公表は制限しないし、研究内容への介入もしない」と話す。防衛省幹部OBも、「技術の進化が早まる中で先進技術が従来の戦い方を一変させる可能性があり、『防衛』にも応用可能な先進的民生技術を積極的に活用するための基礎研究が重要だ」と、同制度の意義を語る。


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