2024年7月16日(火)

Wedge REPORT

2009年5月20日

公平性の確保と実現可能性がカギ

 公平性が確保されない場合の影響は広汎に亘る。例えば、エネルギーの高効率化を達成した国に対し、重い削減義務を課する結果、エネルギー効率の低い国へ、生産活動や生産拠点が移動する恐れがある。その場合、CO2の排出は総体として増え、温暖化防止に逆行する「カーボンリーケージ」が引き起こされる。

 6つの選択肢は、全く異なる論理に基づき作成されている。上図にポイントをまとめたのでぜひご覧いただきたい。国民は、目標数値の多寡を議論する以前に、各選択肢の前提となる考え方や論理について的確に理解することが求められている。

 選択肢(1)は、既出の米国・EUの中期目標値をベースに、「限界削減費用の均等化」により、我が国の目標数値を設定しており、公平性を確保した最も合理的な選択肢である。

 選択肢(2)については、一定の合理性はあるが、米国・EUが、現在発表しているそれぞれの中期目標レベルを大きく超えて削減にコミットしない限り、我が国との公平性は確保できず、選択肢としては成立しにくいと思われる。

 選択肢(3)及び選択肢(5)は、我が国の削減可能性のみを評価したものであり、他国との公平性確保の視点は、基本的に欠落している。また、選択肢(4)及び選択肢(6)は、先進国の共通尺度として、前者は「今後のGDP当たり対策費用の均等化」を求め、後者は「同一削減数値」を求めた。しかし、いずれも「各国が到達したエネルギー効率化の実績」は一切考慮されておらず、公平性の確保はなされていない。


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