2025年3月25日(火)

BBC News

2025年3月22日

ヒースロー空港に駐機する英ヴァージン・アトランティック航空の旅客機

近隣の変電所火災によって「前例のない」停電に見舞われ閉鎖されていたロンドン・ヒースロー空港は21日夜、一部のフライトの運航を再開した。22日には通常運営が再開される見込み。利用者は航空会社に連絡して最新情報を確認するよう促されている。

ヒースロー空港を拠点とするブリティッシュ・エアウェイズ(BA)のほか、エア・カナダ、米ユナイテッド航空を含む航空各社が、ヒースロー空港への往復便の運航再開を発表した。

BAは、自社の長距離フライト8便について21日夜の出発が空港から許可されたと明らかにし、「乗客に急ぎ連絡している」と述べた。

空港の広報担当者は、運航再開当初は「ヨーロッパの他の空港に迂回した乗客の帰国と、航空機の再配置に焦点を当てている」と述べた。

英運輸省によると、混雑緩和のため、夜間飛行の制限も一時的に解除されている。

中規模都市に相当する電力喪失

ヒースロー空港のトーマス・ウォルドバイ最高経営責任者(CEO)は、足止めされた乗客に謝罪し、この混乱は「誰も負傷をしなかったことを除けば、空港にとって最大級のもので、決して小規模な火災ではなかった」と説明。

バックアップ用の変圧器が故障したため、システムを安全手順に従って停止し、残りの2カ所の変電所から電力供給を再構築し、空港の電力を復旧させる必要があったという。

「中規模都市の分に相当するだけの電力を失った。空港の予備電源は作動したが、それだけで空港全体を動かすことはできない」とも、ウォルドバイ氏は述べた。

空港の電力系に弱点があるのかという質問に対しては、「そういう言い方もできるが、もちろん完全に備えることのできない規模の事態というのはあって、今回のはそのひとつだった」と答えた。

ハイディ・アレクサンダー運輸相は、空港の経営陣が「迅速に対応計画を実行し、緊急対応者や航空会社と緊密に協力した」と説明。また、ヒースロー空港は「バックアップのエネルギー供給、発電機、ディーゼル発電機を備えている」とも述べた。

そのうえで、「これらのバックアップ供給は空港内の重要なシステムを保護するために設計されており、空港全体に電力を供給するためのものではないため、今回の件でも不足はなかった」と述べた。

変電所の変圧器から出火

変電所の火災は20日夜、西ロンドンのヘイズにあるノースハイド工場で発生。これによって、ヒースロー空港を利用する約20万人が影響を受けた。21日には終日フライトが停止され、到着予定だった飛行機が、欧州の他都市の空港に行き先を変更したり、引き返したりした。

ロンドン警視庁は、この火災が不審なものではないと確認しており、捜査は「電気配電設備」に焦点を当てたものになっているという。

ヒースロー空港は、イギリス最大の航空ハブで、毎日約1300回の離着陸を処理している。最新データによると、昨年は過去最多の8390万人の乗客がターミナルを通過した。

ロンドンの緊急サービスは20日午後11時20分、初めて火災の通報を受けた。

その時点で空港に向かっていた約120機の航空機は、迂回するか出発地に戻ることを余儀なくされた。

ロンドン消防隊によると、消防車10台と約70人の消防士が現場に出動した。火災は21日午前6時30分までに制御された。

当局は、火災は2万5000リットルの冷却液を含む変圧器が燃えたことによるものだと述べた。

この結果、空港を含む地域内の6万5000軒以上の住宅が停電したが、送電会社ナショナル・グリッドは、午後2時までに電力が復旧したと述べた。

また、安全対策として大規模な封鎖が行われ、約150人が自宅から避難した。

(英語記事 Heathrow flights resume after fire forced shutdown

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cj6739kn669o


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