2025年3月30日(日)

BBC News

2025年3月24日

ロシアの攻撃を受けたウクライナの住宅棟。緊急サービスの青いライトに照らされている。がれきが散らばった入り口には緊急サービスの職員たちがいる

フランク・ガードナー安全保障担当編集委員

アメリカの代表団は24日、サウジアラビアの首都リヤドで、ウクライナとロシアの代表団とそれぞれ会談した。

米政府の目標は、ウクライナでの戦争の部分的停戦を直ちに実現し、その後に包括的な和平合意を目指すことだ。

では、このリヤドでの会談は、多くの人々が期待する突破口を生み出せるのだろうか?

それは、誰に話を聞くかによる。

ドナルド・トランプ米大統領に仲介を任されているスティーヴ・ウィトコフ中東特使は、「(ロシアの大統領)プーチン氏は平和を望んでいると感じる」と述べ、「24日にサウジアラビアで実際の進展が見られると思う」と語った。

しかし、クレムリン(ロシア大統領府)のドミトリー・ペスコフ報道官は期待を抑える発言をし、ロシア国営テレビに「我々はまだこの道の始まりにいるに過ぎない」と話した。

ウクライナの首都キーウは22日夜、きわめて激しいドローン(無人機)攻撃を受け、5歳の少女を含む3人が死亡した。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は23日夜、「攻撃をやめさせる本物の命令を出すよう、プーチンに働きかける必要がある」、「この戦争をもたらした者が、それを取り除かなくてはならない」と述べた。

一方ロシアは、停戦合意への署名を特に急いではない様子だ。プーチン大統領は、アメリカが提案してウクライナが同意した30日間の停戦案について、合意にさきがけて多くの「ニュアンス」、つまり前提条件を求めている

リヤドのきらびやかな政府施設では、23日の日没後すぐに、アメリカとウクライナの会談が非公開で始まった。ウクライナ代表団は、ルステム・ウメロフ国防相が率いている。

ウメロフ氏は今回の会談を「実務的」な議論だとし、エネルギー施設や重要インフラをどのように最善に保護するかに焦点を当てていると述べた。

黒海の航路も議題に上がっている。報道によるとロシアは制裁緩和と引き換えに、ウクライナの穀物輸出を攻撃しないという合意復活に前向きだという。

ウメロフ氏は会談後にソーシャルメディアのXで、会談は「生産的かつ集中したもの」で、エネルギーを含む重要なポイントを話し合ったと説明した。

また、「ウォロディミル・ゼレンスキー大統領の目標は、我が国と国民、そして欧州全体にとって公正で持続可能な平和を確保することだ。その目標を現実のものにするために努力している」とした。

その後、現地時間24日午前10時(日本時間午後4時)ごろから、ロシアとアメリカの会談が始まった。

ロシア代表団には、上院の国際問題委員会を主導するキャリア外交官と、グリゴリー・カラシン氏と、ロシア連邦保安局(FSB)のセルゲイ・ベセダ顧問が含まれている。

ロシア国営タス通信と、中東の放送局アルアラビーヤは、会談が非公開で進められたと報じた。タス通信による、ジャーナリストらは、会談が行われているリヤドのリッツカールトン・ホテルから立ち退くよう言い渡されたという。

こうしたなか、ロシアとウクライナの双方が、互いのインフラに対して甚大な破壊攻撃を行っている。

ロシアはウクライナの電力供給を標的にし、市民を寒さと暗闇の中に追い込もうとしている。一方ウクライナは、ロシアの戦争遂行に重要な石油施設を長距離ドローン攻撃で狙い、ますます成功を収めている。

1945年以降の1945年以降の欧州で起きた最悪の戦争で、双方は数十万人の死傷者、捕虜、負傷者、行方不明者を出している。トランプ大統領はこの戦争の早期終結を希望している。

ウクライナの指導者たちは、先月のホワイトハウスでの壊滅的な口論による傷をまだ抱えている。そして、平和を妨げているのは自分たちではないと必死にアメリカ政府を説得しようとしている。

今月初めにサウジアラビア・ジッダで行われた会談で、アメリカが陸海空での包括的な30日間の停戦を提案した際、ウクライナはすぐにその条件に同意した

その際、マルコ・ルビオ米国務長官は「ボールは今、ロシア側にある」と話した。

アメリカはその後、ロシアに停戦を合意させられなかったが、トランプ政権はロシアに対して公にはほとんど圧力をかけていない。むしろ逆のことが起きている。

ウィトコフ特使は週末にかけて、トランプ支持者のジャーナリスト、タッカー・カールソン氏とのインタビューで、ヨーロッパとは全く異なる立場を示した。ウィトコフ氏は、ウクライナは「偽物の国」だと述べたほか、ロシアは挑発されたのであって、プーチン氏は信頼できる約束を守る人物だという見方を繰り返し示した。

ウィトコフ氏はニューヨークの不動産開発業者で、トランプ氏のゴルフ仲間でもある。そのウィトコフ氏は、ウクライナでの最終的な和平合意を守るための軍事力を結集しようとするキア・スターマー英首相の努力は「見せかけのポーズ」に過ぎないとして退けた。

(英語記事 A deal in the desert? US and Ukraine meet ahead of Russia ceasefire talksUS-Russia officials holding Ukraine talks in Saudi, as Russian drone attacks continue

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c4gd5y4k60po


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