2025年3月28日(金)

BBC News

2025年3月25日

ロシアの攻撃を受けた建物の消火に当たるウクライナの消防隊員

ジェイムズ・グレゴリー(ロンドン)、フランク・ガードナー(リヤド)

ウクライナでの戦争の一時停戦に向けた協議がサウジアラビアで行われるなか、ロシア軍は24日、ウクライナ北東部を標的としたミサイル攻撃を行った。

この攻撃により、ウクライナ・スーミでは数十人が負傷した。ウクライナのアンドリー・シビハ外相はロシアに対し、「和平について空虚な声明を出すのではなく、攻撃を止めるべきだ」と述べた。

アメリカとロシアはこの日、サウジアラビアの首都リヤドで最新協議を行った。前日の23日夜には、アメリカとウクライナの協議が行われていた。

議題には、ウクライナが黒海経由の穀物輸出を再開するための、2022年の穀物輸出協定の復活が含まれていたという。ロシアは2023年、制裁が残ることを問題視して黒海穀物協定から撤退した。

ロシアは協定復活の見返りに、肥料輸出を再開できるよう、西側諸国に制裁緩和を求めているとされる。

ロシアとアメリカの会談は12時間にわたった。ロシアのメディアは、25日にも共同声明が発表されると伝えた。

しかし、戦争を終わらせるというアメリカの楽観的な野望は、現実と正面衝突している。部分的な停戦についてでさえ、共通基盤を見つけるのがきわめて複雑な課題だということが明らかになっている。

これは迅速に解決できる問題ではないため、現状の会談では、黒海に焦点を当てた「停戦ライト版」のようなものを考案することが目的となっている。

リヤドでは、ロシアとウクライナの代表団は同じ建物にいるが、交戦中の両陣営が会う予定はない。ウクライナ代表団は23日夜にアメリカ側と会談した後も、その場に留まっている。

ウクライナは、会談は「生産的かつ集中したもの」だったと説明。ドナルド・トランプ米大統領の特使、スティーヴ・ウィトコフ氏は、ウクライナとロシアとの個別の議論が、戦争終結に向けて「実質的な進展」をもたらすだろうと述べた。

攻撃続く

長い前線での敵対行為を停止するため協議が続くなか、ロシアとウクライナの両国は戦闘を続けている。

ロシアとウクライナは、交戦中の両陣営がインフラ施設を標的にしない30日間の停戦協定を守っていないと互いに非難している。

ウクライナ当局は、24日のスーミへの攻撃で、子ども14人を含む65人が負傷したと発表した。

スーミは、昨年ウクライナが占領したロシアのクルスク州の国境近くに位置し、かねてロシアの攻撃を受けている。だが、24日のミサイル攻撃は特に大規模で、地元当局によると学校や病院、アパートが被害を受けた。

ウクライナのデニス・シュミハリ首相は、この攻撃はロシアが「テロを続けたいことをあらためて示すものだ」と述べた。

シュミハリ首相はソーシャルメディアに、「国際社会はロシアに対して侵略をやめるよう圧力を強め、正義を確保し、ウクライナ人の命を救うべきだ」と投稿した。

スーミと国境で隣接するロシア・クルスク州では、ここ数週間でウクライナ軍が後退を余儀なくされている。それでも、ウクライナがクルスク州の一部を依然として占領していることが、ウクライナ政府の交渉力を強化している。

ロシアの国営メディアは国防省筋の話として、ウクライナが24日午前2時(日本時間午前8時)、南部クラスノダールにある油送管の大型中継施設「クロポトキンスカヤ」にドローン(無人機)攻撃を開始したと報じた。

ロシア国防省は、国内の複数地域で夜間に、ウクライナのドローン計227機を撃墜したと発表した。

一方、ウクライナのキーウ州では、ロシアの空爆で37歳の男性が負傷したと地元当局が伝えた。

ロシアは2022年2月にウクライナへの全面侵攻を開始し、現在ウクライナ領土の約20%を支配している。

(英語記事 Russia accused of 'hollow' peace talks as strike injures dozens

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c3e4l4503veo


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