2025年3月30日(日)

BBC News

2025年3月25日

アカデミー賞授賞式でオスカー像を掲げるパレスチナ人のハムダン・バラル監督(左)と、イスラエル人のラヘル・ショール監督

今年の米アカデミー賞で長編ドキュメンタリー賞を受賞した「ノー・アザー・ランド 故郷は他にない」のパレスチナ人監督が、イスラエル占領下のヨルダン川西岸地区で24日に発生したイスラエル入植者とパレスチナ人の間の暴力的な衝突の後に拘束されたと、活動団体が発表した。

イスラエルの入植に反対するNGO組織「ユダヤ人非暴力センター」に所属するユダヤ系アメリカ人活動家らによると、ハムダン・バラル氏は24日、スシャ村が襲撃された際に入植者らに家を囲まれた。

受賞作の共同監督でイスラエル人のユヴァル・アブラハム氏は、バラル氏が救急車内で兵士に殴られ、連行されたと述べた。イスラエル側はこれを否定している。

イスラエル国防軍(IDF)は、バラル氏の名前を挙げずに、治安部隊に「石を投げた」と疑われるパレスチナ人3人とイスラエル人1人を拘束したと述べた。

この出来事を報告したユダヤ系アメリカ人の活動家5人によると、覆面をした入植者12人ほどが24日午後6時ごろ(日本時間25日午前1時ごろ)、スシャ村を襲撃した。

活動家らはこれを記録するために村に行ったが、入植者に車の窓を壊され、殴られ、棒で打たれるなどしたと述べた。

バラル氏の家は入植者に囲まれていたとされる。

アブラハム氏は、村では人々が負傷し、住宅が壊されていたと語った。

また、別の活動家はBBCに対し、自分たちが攻撃を受けているとイスラエル兵に訴えたと話した。軍が介入したことで、入植者は退却したという。

IDFは、兵士とイスラエル警察が対立を解散させるために現場に出動したことを認めた。

一方で、「治安部隊は、石を投げた疑いのある3人のパレスチナ人と、暴力的な対立に関与したイスラエルの民間人を拘束した」と説明。

「拘束された人々は、さらなる尋問のためにイスラエル警察によって連行された。この件で負傷したイスラエル人は、医療処置を受けるために避難させられた」とした。

「ノー・アザー・ランド 故郷は他にない」は、西岸の約20カ所の村からなるマサフェル・ヤッタのコミュニティーと、アブラハム氏ともう一人のパレスチナ人監督、バセル・アドラ氏の友情を描いている。

イスラエルは1967年からヨルダン川西岸地区を占領している。この地域のイスラエル入植地は国際法上違法とされているが、イスラエルはこれに異議を唱えている。

過去55年間で入植地は拡大し、土地をめぐる暴力と対立の焦点となっている。

また、2023年10月に勃発したイスラエルとパレスチナ・ガザ地区のイスラム組織ハマスとの戦争以来、西岸地区でのパレスチナ人に対するイスラエル人入植者の暴力が急増している。

(英語記事 Palestinian Oscar winner held by Israeli soldiers

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cdrx8313v0lo


新着記事

»もっと見る