2025年3月30日(日)

BBC News

2025年3月26日

韓国南東部の山火事

韓国・南東部で21日以降、山火事が広がっており、当局によると27日夕までに少なくとも27人が死亡、32人がけがをした。

当局などによると、死者のほとんどは60代と70代だという。

今回の山火事は、21日に南東部・慶尚南道山清郡で最初に発生。その後、強く乾いた風によって、近隣の慶尚北道義城郡、安東市、青松郡、英陽郡、盈徳郡に広がった。

義城郡の火災は、丘陵地で墓参りをしていた地元の人たちが偶発的に起こしたとみられている。墓地で撮影された映像には、地面にライターが落ちているのが映っている。

その他の火災は、溶接の火花や、ごみの焼却が出火原因になったと考えられている。

避難者は2万3000人を超えている。義城郡では7世紀に創建された「孤雲寺」が焼けるなど、いくつかの文化遺産にも被害が出ている。

山火事は何カ所かで発生しており、消防士数千人と、軍の約5000人が出動して消火に当たっている。在韓米軍のヘリコプターも出動している。

韓悳洙(ハン・ドクス)大統領代行は、「前例のない」深刻な危機が依然として続いていると警告。「韓国史上最悪の山火事の記録が塗り替えられている」とした。

また、可能な限りの人員と機材を消火・支援活動に投入しているが、強風がそれらを妨げていると述べた。

義城郡では26日正午過ぎ、消火活動中だった消防ヘリコプターが墜落し、パイロット1人が死亡した。原因は調査中。

消防士も、これまで3人の死亡が確認されている。

安東では、住民がBBC韓国語の取材に、「私たちの家は全焼した。ほぼすべて倒壊した」と話した。

トラック運転手のイ・スンジュさん(39)は、運転中に山が燃えているのを見たとし、「まるでこの世の終わりのようだった」とAFP通信に話した。

消防庁は25日、火災対応レベルを最高度に引き上げていた。こうした警報を出したのは今年初めて。

韓国では山火事は比較的まれで、関連死もほとんどない。今回の火災はすでに、韓国史上最悪の死者数を記録している。

山林の焼失面積は約3万5810ヘクタールに上っている。当局は過去最大規模だとしている。

韓国は平年より降雨量が少なく、乾燥した状態が続いている。今年はこれまでに244件の山火事が発生。前年同時期の2.4倍となっている。

政府は、山火事の主な原因の一つになっている違法な焼却行為に対する取り締まりを強化し、個人の不注意についても厳しい姿勢で対処すると約束した。

(英語記事 Race to save lives and ancient artefacts in South Korea as wildfires rage

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c4g01g8k4dpo


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