2025年4月6日(日)

BBC News

2025年3月31日

アメリカのドナルド・トランプ大統領

ドナルド・トランプ米大統領は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に対して「とても腹を立てた」、「むかついた」と述べた。アメリカはここ数週間、ウクライナでの戦争について、同国とロシアとの停戦交渉を仲介しようとしていた。

30日に放送されたNBCニュースのインタビューでトランプ大統領は、プーチン大統領がウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領の信頼性を攻撃したことに立腹していると発言。プーチン氏が停戦に合意しない場合、ロシア産石油を購入する国々に対して50%の関税を課すと脅した。

「もしロシアと私が、ウクライナでの流血を止めるための合意に至らず、それがロシアのせいだと思った場合(中略)私はロシア産のすべての石油に対して2次関税を課すつもりだ」と、トランプ氏は述べた。

この発言は、トランプ氏のプーチン氏およびロシアに対する態度の変化を示している。

米ホワイトハウスは、この件についてコメントを求めても、すぐに応じなかった。

欧州各国の指導者たちは停戦交渉が続く中、トランプ氏がプーチン氏に接近していることを懸念していた。

この6週間でトランプ氏は、ホワイトハウスの大統領執務室でゼレンスキー大統領を叱責し、多くの譲歩を要求してきた。一方で、プーチン大統領を称賛し、ロシア大統領の要求にはほぼ応じてきた。

そのため今回の発言は、これまでの関係性から外れた様子を示すものとなった。アメリカが、停戦交渉で足踏みするロシアに対して、それは深刻な結果をもたらすと初めて脅したことで、ロシアの反応を引き出そうとしたようにも見える。

NBCニュースは10分間の電話インタビューの内容として、プーチン氏がゼレンスキー氏の指導力の信頼性を批判した際、トランプ氏が非常に怒り、「腹が立っている」と述べたと報じた。ただし、トランプ氏自身もゼレンスキー氏を「独裁者」と呼んだり、選挙を実施するよう要求している。ゼレンスキー氏は昨年5月に任期を終えるはずだったが、ウクライナではロシアの全面侵攻開始によって戒厳令が出されており、選挙が実施されていない。

「プーチンがゼレンスキーの信頼性に言及し始めたとき(中略)私はとても腹が立ったし、むかついたと言える。正しい方向に進んでいないので」とトランプ大統領は述べた。

「(ウクライナの)指導者が新しくなるなら、もうしばらくは合意が得られないことになる」ともトランプ氏は話した。

トランプ氏は、自分が怒っていることをクレムリン(ロシア大統領府)は承知しているとする一方、プーチン氏とは「非常に良い関係」なので、「(プーチン氏が)正しいことをすれば、怒りはすぐに消える」とも述べた。

ただし、ロシアが停戦を履行しない場合、それがプーチン大統領の責任だと思ったなら、さらにロシア経済を標的にするとトランプ氏は脅した。

「アメリカで販売される石油やその他の製品に25%の関税、つまり2次関税を課す」とトランプ氏は述べ、停戦合意がない場合、1カ月後にロシアに対する関税が発動されると話した。

2次関税とは、ある国と取引を行う第三国に対する制裁を指す。今回の場合、ロシアから石油を購入し続ける国々からアメリカに輸入される製品に対し、最大50%の関税が課される可能性がある。ロシア産石油の最大の購入者は中国とインドだ。

ゼレンスキー氏はこのインタビューの放映後、「ロシアはこの戦争をさらに長引かせるための言い訳を探し続けている」とソーシャルメディアに投稿した。

また、ロシアが違法に併合したクリミア半島に言及し、「プーチンは2014年から同じゲームを続けている」、「これは全ての人にとって危険なことだ。アメリカやヨーロッパ、そして平和を求める世界中のパートナーが、適切に対応する必要がある」と述べた。

トランプ大統領は、今週中にもプーチン大統領と話す予定だと述べた。

ロシアは2022年2月にウクライナへの全面侵攻を開始し、現在はウクライナ領土の約20%を支配している。

BBCロシア語とロシア独立系サイト「メディアゾナ」、および2022年2月から死者数を数えているボランティアたちが分析したデータによると、ウクライナでの戦争が4年目に入る中、ロシア軍で戦っている10万人以上が死亡している。

ウクライナは2024年12月に最新の死傷者数を更新。ゼレンスキー氏は、4万3000人が戦死したと認めた。西側のアナリストはこの数字は少なすぎると考えている。

3期目排除せず、イランにも再び脅し

このほかトランプ氏はNBCニュースでのインタビューで、3期目の大統領就任はあり得ると発言し、「これは冗談ではない」と強調した。アメリカでは、3選は憲法で禁止されている。

トランプ氏は、「多くの人が私にそれを望んでいる」と述べた一方、「けれども、その人たちには要は、まだ長い道のりがあると話している」とした。

また、イランについて、核合意に同意しない場合には爆撃すると再び脅した。トランプ氏は今月初め、核合意に向けた交渉を要求する手紙を、イラン政府に送った。

「イランがこれまでに見たことのないような爆撃になるだろう」とトランプ氏は述べ、2次関税の可能性も示唆した。

イランのマスード・ペゼシュキアン大統領は30日、核プログラムに関してアメリカとの直接交渉には応じないが、間接的な交渉は可能だと述べた。

「我々は交渉を避けているわけではない。これまで我々にとって問題なのは、約束が破られてきたことだ」と、ペゼシュキアン大統領は述べた。

「アメリカは信頼を築けると証明しなくてはならない」

(英語記事 Trump 'very angry' with Putin over ceasefire negotiations

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c4g7lv0zv8eo


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