2025年4月6日(日)

BBC News

2025年3月31日

スターマー氏(左)とトランプ氏は2月に米ホワイトハウスで会談した

イギリスのキア・スターマー首相とアメリカのドナルド・トランプ大統領は30日、電話で協議し、両国の経済協定に関する「生産的な交渉」を「速いペースで続ける」ことで合意した。英首相官邸が発表した。トランプ政権の新たな関税措置の発動が迫る中での首脳協議となった。

トランプ氏が発表した輸入自動車に対する25%の関税は、4月2日に発動の予定。イギリスの交渉担当者らは、土壇場で適用除外の確保を目指している。

英首相官邸筋によると、イギリス政府は必要に応じて、アメリカ政府の関税に報復する用意があるとされる。

トランプ氏は、2期目の政権発足後の数カ月で、他国製品に対して一連の関税措置を発表。課税をさらに拡大すると脅している。

スターマー氏は以前、アメリカとの貿易戦争への突入は望まないと述べていた。一方で、イギリスを適用除外とする取り決めが確保できない場合に、アメリカ製品に対して相互関税をかける「権利を留保する」とも述べている。

英政府は、他国と比べた場合、イギリスはアメリカと比較的対等な貿易関係を保っていると主張している。

米政府による関税が発動された際に、イギリスがどう報復するのかは不明。アメリカにとって英製品が特に重要となっている分野で関税をかけたり、ハーレーダビッドソンのオートバイなど特定の製品に関税をかけたりするなど、さまざまな方法が考えられる。

自動車値上げは「気にならない」とトランプ氏

自動車業界の団体「自動車製造販売協会(SMMT)」によると、イギリスの自動車輸出は年間総額額で約76億ポンド(約1.47兆円)あり、アメリカは欧州連合(EU)に次いで2番目に大きな市場となっている。

「トランプ関税」は、ロールス・ロイスやアストン・マーティンなど、イギリスの高級車メーカーに打撃を与えることが予想されている。

トランプ氏は、関税措置がアメリカの製造業者を支援し、雇用を守ると主張している。これに対しては、消費者にとって価格上昇を招くとの警告も出ている。

トランプ氏は30日、スターマー氏との電話協議を前に、自動車メーカーが値上げしても「まったく気にしない」と述べ、「みんながアメリカ製の車を買うことになる」からだとした。

トランプ氏は先月、スターマー氏と米ホワイトハウスで会談した際、イギリスとの間で「真の貿易協定」が実現すれば、その他の国々にかけるような関税をイギリスは回避できる可能性があると述べていた。

英首相官邸の報道官によると、両首脳は30日の電話協議で、ウクライナでの戦争をめぐってロシアに圧力をかけ続けることについても話し合ったという。

報道官は、「ウクライナについて協議する中で首相は、(トランプ)大統領に対し、今週パリで開かれた『有志連合』の会合における生産的な話し合いについて、最新の情報を伝えた」、「両首脳は、プーチンに集団的圧力をかけ続ける必要性に関して意見が一致した」と述べた。

英首相官邸によると、トランプ氏はこの日の電話を、英国王チャールズ3世を気遣う言葉から始めたという。国王は先週、がん治療の一時的な副作用を経験していた

また、両首脳は今後しばらく連絡を取り合うことで合意した。

(英語記事 Starmer and Trump discuss 'productive negotiations' on economic deal

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cy8e4z9dvn4o


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