2025年4月18日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年4月14日

 3月24日には、米大統領経済諮問委員会(CEA)議長ミランまで、米国の関税政策について、「米国の消費者は購入する輸入品を別の品に切り替えることができる」と述べ、米国経済が短期的に打撃を受けるという指摘は当たらないとの考えを示し、論戦に参加した。

概念的にも、政策的にも理屈がない

 第2期トランプ政権について問題なのは、第一に、知的枠組が広義の正統派から大きく外れていることだ。社説が言うように、「長年にわたり確立された経済モデル」を否定し、「理解不能な非現実的なモデル」をとろうとしている。主流派の経済学者は政権に見当たらない。ナバロやミラン等が側近だ。

 第二に、政権人事に当たりトランプは忠誠心基準を徹底し、重要ポストには自分の考えに沿う者を据え、重要省には次官補クラスの高官を送り込んだ。第二次政権は、意見の多様性の少ない、トランプ的純度の高い政権だ。「大人」を期待されたベセントも、「解毒期」の強硬発言等をし、いささか失望させられる。

 第三に、政権内にはトランプによる恐怖政治が敷かれているのだろう。

 トランプの発動する「相互関税」は、世界貿易機関(WTO)等の交渉を通じ各国の利益を綿密にバランスした戦後の国際貿易秩序の根幹に真っ向から対立するものだ。概念的にも、政策的にも理屈がない。

 名目上の関税率を比較して何の意味があるのか。荷重平均関税率を見ても、米国は 2.2%、日本の 1.9%より高い。個別の措置は、実施や管理が不可能に近く、恣意的になる。益々貿易を歪め、ひいては産業を歪め、国民の利益を損なう。

 本当に激しく取引をやりたいのであれば、長年米国がしてきたように、自由貿易協定(FTA)や WTO の交渉こそすべきだろう。

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