2025年4月18日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年4月14日

 今の状況から投資家や企業が導き出せる結論は何か。一つは、「この政権が整合性をもって政策を遂行する」と想定することは大きな誤りだということだ。

 さらに一部の人々は、混乱自体が意図的な大計画の一部だと推測する。いずれであろうと、経済的信頼を失墜させる。

 トランプの手法が不可解であり続け、家計や経済界、投資家に負担を強いる限り、その主張を納得させることは益々困難になるだろう。米国は長年にわたり確立された経済モデルから、理解不能の非現実的なモデルに転換しようとしている。

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反市場的な思想

 これ以上の正論はない。この社説は、①最近の米国経済の減速や株価急落にもかかわらず、トランプは過激な政策を益々強行しようとしている、②問題は政策の手段と目的が「理解不能」で、「政策実現のための整合的な理論を欠いている」ことだ、③ドル安誘導の「マール・ア・ラーゴ合意」が噂されているが、貿易相手国の合意を得ることは「至難」で、政権内の足並みも揃っていない、④この政権が整合性をもって政策を遂行すると想定することは誤りだと述べる。

 そして、結論として、「彼の手法が不可解であり続け、家計や経済界、投資家に負担を強いる限り、その主張を納得させることは益々困難になるだろう。米国はこれまで長年にわたり確立された経済モデルから、理解不能で非現実的なモデルに転換しようとしている」と述べる。

 トランプの経済政策に対する厳しい見方だが、その通りだろう。特に政策の手段と目的が理解不能との指摘は、正しい。

 国民と経済をかかる賭けに掛けることは、あるまじきことだ。目的不明の混乱志向、情報の相対化、混乱に乗じる取引志向、制約のない言動は止まらない。

 さらに重要なのは、思想が反市場的なことである。市場を尊重する気はなく、個別の介入により物事を解決しようとする。それは恣意的になり、管理不能になる。

 上記記事の指摘の通り、トランプの政策は今のままでは失敗になる可能性が高い。消費者も労働者も、企業も、市場も、同盟国、どの正面を見てもうまく行くとは思えない。


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