2024年11月22日(金)

Wedge REPORT

2014年4月10日

 このような歴史的経緯から見ても、日本は1日も早く六ケ所再処理工場を稼働させ、もんじゅ、プルサーマル(MOX燃料)などの核燃料サイクル活動を軌道に乗せる必要がある。さもなければ、現行日米原子力協定が期限満了となる2018年以後に不安定要因を抱えることになるだろう(この問題は別の機会に詳しく論ずる予定)。

インドの対米粘り腰交渉

 ところで、日本以外でも、米国との間で困難な再処理交渉を経験した、あるいは経験しつつある国が2つある。いずれもアジアのインドと韓国である。

 NPT非加盟のインドは、アジアでは最も早くから原子力研究開発に着手し、現在世界有数の高い原子力技術を有する国であるが、前述のように、1974年の核実験以来各国の制裁措置により、国際原子力市場から締め出された状態が長く続いていた。インドの西海岸にあるタラプール原発には、1960年代末に米国から輸入された軽水炉2基があるが、米国は、NPTに加盟せずに核実験を強行したインドとは原子力関係を断絶。タラプールの取り換え燃料の供給を拒否し、同炉の使用済み燃料の再処理も認めなかった。1998年のインドの第2回核実験で、日本はじめ各国は対印制裁措置を一段と強化した。

 しかし21世紀になって国際政治状況が大きく変わり、ブッシュ(息子)政権時代に劇的に発表された米印原子力合意が難産の後に成立。「原子力供給国グループ」(NSG)の承認を得て、米印原子力協定締結が実現した(2009)。その過程で、インドは、数年に及ぶ実にしぶとい対米交渉の結果、事実上再処理権を米国に認めさせることに成功した。

行き詰まる韓米再処理交渉
日本を羨む韓国

 他方、世界第5位、アジアで第2位の原発大国である韓国は、現行の韓米原子力協定を改正してぜひ日本のように再処理権を獲得したいと、朴槿恵大統領以下必死に対米交渉を行っているが、北朝鮮との関係もあり、米国政府は頑として応じない。米国としては、もし韓国に認めると他の新興国にも認めなければならなくなり、歯止めが効かなくなることを懸念しているわけだ。ちなみに、現行の韓米原子力協定は旧日米協定と同タイプで、再処理については「ケースバイケースでの承認」を必要としている。

 同協定は本年3月で切れたので、暫定的に2年間延長して交渉を継続しているが、見通しは非常に暗い。韓国側は、同じ同盟国なのに日本だけを優遇し、韓国を「二流国」扱いしていると憤懣やるかたない状況だ。こうした韓国問題については次の拙稿で詳しく解説してあるので、関心のある方は是非参照されたい。「韓国が羨む『再処理特権』 六ヶ所の稼働を急げ」


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