ルビオ国務長官は15日、トランプ大統領は「和平が達成されるまで、この状態を維持する用意がある」が、「世界中を飛び回り、生産的ではない会合を続けることはできない」と述べた。
ウクライナの高官は、プーチンは「強いがリスクのある」手札を持っていると述べた。ウクライナは、プーチンがあと一枚カードを引けば、ロシア大統領が「破産」する可能性があると賭けているのだ。
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停戦の意思すらないプーチン
2025年5月19日、トランプ・プーチン電話会談が行われた。本件記事はその2日前に掲載されたものであるが、電話会談に至るまでの経緯を簡潔にとりまとめてくれている。
この間の経緯を振り返って明らかになったことは、要するにプーチンは、少なくとも現時点において戦争の終結はおろか停戦さえするつもりはないということである。停戦や終戦を事実上拒否しながら、和平には前向きであるとの印象作りに留意し、同時にトランプの関心をロシアの方に向けていくことが基本であって、この方針は何ら変わっていない。
トランプ・プーチン電話会談は、結果的に以上のようなプーチンの方針が変わらないこと、またそのようなプーチンに対し圧力をかけることについて、少なくともトランプ個人にこれ以上期待することはできないことを確認する場となった。
5月初めころから、トランプは新たな制裁をちらつかせながら即時停戦を強く主張するようになり、かたや欧州は独・仏・英・ポーランド4カ国を中心に有志連合の議論を進め、14日には第17次対露制裁パッケージ案が大使レベルで合意され(5月20日に採択)、さらに米国議会においてもリンゼー・グラハム上院議員を中心に大規模な新規対露制裁法案が準備されつつあった。
今回のトランプ・プーチン電話会談はこのような状況の中で行われたのであり、一部には停戦に向けて何らかの具体的な成果が得られるかも知れないとの期待感も醸成されていた。
そして米露首脳による電話会談が2時間以上にわたって行われた。その結果、何が起こったか。
電話会談後、プーチンは、トランプとの電話会談の結果、①露ウ間で今後あり得るべき平和条約に関するメモランダム作成に向けて作業すること、②そこにはウクライナ危機を解決するための原則や平和条約締結の時期、また然るべき合意達成の上で一定期間の停戦などを規定することで合意したとして、会談が有益であったことを強調した。
