2024年11月24日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年4月23日

 もし、米国がアジアにおける国家安全保障上の目的を達成したいと真剣に思うならば、米国は、安倍政権の奇妙な部分を見るのではなく、日本と、英国と類似した「特別な関係」を築くべきである。日米両国は、アジアにおける自由と繁栄の最高の希望である、と論じています。

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 上記は、日本には自虐史観の克服など右傾化の傾向が存在し、安倍内閣とその周辺の人々がそれに賛同していることは認めつつも、それが日本全体ではないと言い、また、戦後70年間の日本の軌跡から言って日本は安定した平和国家であり、また、地政学的に米国の最も重要な同盟国であり、日米同盟を英米同盟のように確固たるものにすべきだと論じている、日本にとって好意的な論説です。

 ちなみに、日米同盟を英米同盟のようにするべきだというのは、1980年の「アーミテージ・ナイ報告」以来の親日派の主張であり、また、その報告は、そのための手段として、集団的自衛権の行使を挙げています。

 知日派の有難い論文ですが、他面、知日派の米国人でも、日本が右傾化しているという印象を持っています。

 ただ、右傾化論についても、反論、教育は可能だと思っています。例えば、具体的には、「あなたは、国のために戦いますか?」、という世論調査に対する答えです。21世紀初頭ぐらいの調査で、日本の数字は約16%であるのに対して、米国は68%、中国、韓国は80%前後だったと記憶します。

 もし日本の数字が倍増して30%にでもなれば、傾向としては右傾化ですが、それでもまだ日本は救いがたい平和国家であり、右傾化でなく、中道化、穏健化です。また、西欧ではネオナチ政党が生まれているのに、日本では、最近の新党乱立の中にあっても、そのような傾向はまったくなく、むしろかつての大東塾、大日本愛国党などの右翼政党の凋落が著しい点も指摘できます。

 広報政策としては、大きな課題でしょう。自虐史観の克服が行われていることは事実ですが、それも、国際的に見れば正常化であり、とても右傾化とは言えないことを説明する必要があるでしょう。

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