2024年12月4日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年4月29日

 第二に、もしも日韓が二国間の情報共有協定を結ぶ道を見出せないならば、米国を含む、より強固な三国間協定の可能性を模索すべきである。

 第三に、韓国政府は、日本との正式な同盟や防衛条約、あるいは集団防衛へのコミットさえも求めていないことを明確にすべきである。2012年6月のGSOMIAに関する議論では、同協定の対象が限られていることが、十分に強調されなかった。GSOMIAは、日本への従属であると非難され、1910年の日韓併合にすら譬えられた。さしあたって、ソウルは、東京が、友人としてではなく、安全保障上のパートナーとして、大衆に受け入れられるように促すべきである。

 第四に、日韓は、漸増的アプローチを追求するべきである。まず、一つあるいは二つの関心事項についての協定を目指し、容易な問題を解決してから、より困難な問題に移るべきである。三カ国および多国間軍事演習は、海軍演習だけでなく、空軍演習、そして、特殊部隊の演習にも拡大されるべきである。韓国国民は、過去数年、日本との軍事演習に、ほとんど神経を尖らせていないように見える。

 範囲を絞った協定において、両国が強調すべき、もう一つの分野は、ミサイル防衛である。米日、米韓それぞれの間では、強固なミサイル防衛協力があるが、不幸なことに、トライアングルを完成させるための前進は全くない。日韓の協力が、両国のミサイルへの対処能力を高めることは明白である。

 昨年12月には、韓国人の61%が日韓関係の改善を望み、60%がGSOMIAの署名を支持している。安倍総理の靖国参拝の後、両国の緊張は高まっているが、韓国人の50%は、朴・安倍会談を支持し、51%がGSOMIAに好意的である。日韓政府は、現実を認め、安全保障協力が政治的に容認されるように努力すべきである。日韓は、政治的に最も受け入れ可能な領域に焦点を絞るという、漸進的アプローチをとれば、相互に利益のある、安全保障関係を築くことが出来よう、と論じています。

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 この論説は、Pacific Forum CSISの日韓ワーキング・グループが出す予定の日韓関係の改善に焦点を当てたレポートの考え方を総論的に紹介したレビューです。戦略的観点に徹して日韓の安全保障協力推進を説いており、日本に対する歴史問題での注文は皆無です。また、漸進的アプローチをとることを提唱するなど、現実的です。


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