2024年11月24日(日)

解体 ロシア外交

2014年5月1日

日本に対する意外な高評価

 その一方で、いまは好機であるという見方も出来る。

 第一に、ロシアの政府系メディアは最近、日本はG7のなかでは最も軽微な対ロシア制裁政策をとり(具体的には、ビザ取得簡素化交渉の停止)、ロシアの事情を良く理解しているというような高評価をしきりに報じている。

 第二に、4月7日にウクライナ新政権のモフニク環境・天然資源相は、日本がウクライナから温室効果ガスの排出枠を譲り受けた見返りとして行う環境事業の資金がきちんと活用されていないとして「日本側から資金の返還を求められている」と述べたことも、ロシアの対日評価を上げることになっている。

 在ウクライナ日本大使館は「事業の遅延はたびたび指摘している」とする一方、同国の政変などの事情もあり「日本政府として正式に資金返還を求めた事実はない」としているが、この真偽はどうであれ、ロシアの反応が重要だ。ロシアでは、日本がウクライナにいま、資金の返還を要求しているのは、欧米がこぞって承認した暫定政権に対して日本が不信感を持っているからであり、日本はウクライナの状況を正確に理解している。日本はこれまで米国追従外交をしてきたが、ここにきて初めて独自の外交政策をとっていると報じられたのだ。

 加えて、欧米が今後、ロシアへのガス依存を減らすと表明し、悪くすればウクライナ問題で近く、完全に輸入が停止されてしまう可能性もある中で、日本を天然ガス・石油の良き顧客として維持しておきたいという気持ちもあるはずだ。

 このように、ロシアが世界から孤立し、日本に対する評価を高めているいまは、日ロ関係を強化する好機であるという見方も出来ると思うのである。

オバマ訪日のインセンティブにも

 他方、米国は対露制裁で日本の協力を求めている。日米関係が冷え込んで来ていた中で、4月23日から25日にかけて、米国の大統領としては18年ぶりの国賓として、米・オバマ大統領が訪日した。訪日とより長い滞在は日本側が強く要請したものだったが、これまでオバマ氏はビジネスライクで安倍総理に対しても心を開かず、日米首脳会談もあまり行なわれていなかった中、この訪日の意味は大きい。


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