そして、この規制を守っているかは厳しくチェックされている。たまに基準値超の野菜がみつかることがあるが、意図的に農薬を混入させたケースを除き、たとえ食べたとしても健康に影響を及ばさない量で、実際に健康被害は出ていない。
量、値段…厳しい現実
有機野菜の方がおいしいので給食で子供たちに食べさせたい、と思う人もいるかもしれない。何をおいしいと感じるかは人それぞれなので、有機の方がおいしいと思う人がいるならそうなのだろう。ただ、給食で有機野菜を子供に食べさせたくても、日本における有機栽培農場の面積は3万300ヘクタール(2023年度)で、全耕地面積の0.7%しかない。
もちろん、「みどりの食料戦略」で有機栽培の農地を増やそうとしているが、目標は2050年までに25%だ。仮にこの目標を1年以内に達成したとしても、作られる野菜の25%しかないわけで、それをすべて学校給食に振り向けるというのはかなり無理筋といえるだろう。
さらに、価格の問題がある。一般的に有機栽培は慣行栽培の1.5~1.8倍の値段で売られている。6月に鶏のから揚げが1個だけ皿に載った福岡市の給食が話題になったが、野菜を有機にすれば、他の食材を買う費用は当然削られる。福岡市の給食は鶏のから揚げと具沢山みそ汁のセットだったが、有機野菜にすれば鶏のから揚げはなしということになりかねない。
何のために「極力減らす」のか
参政党はまた、化学物質や遺伝子組み換え食品、食品添加物を「極力減らす」という公約を掲げている。化学物質は、科学的には元素や元素が結びついたもののことだが、自然のものも人間が作ったものもある。
例えば、水素と酸素の化合物である水はれっきとした化学物質だ。人工の化学物質のことを言いたいのかもしれないが、食品の加工や調理の過程でできる化学物質は味や香り、食感ともかかわり、減らせばいいというものでもない。
遺伝子組み換え食品は、日本で流通しているのは食用油やコーンスターチ、コーンシロップなどだが、いずれも国が安全性を確認している。これらの食品が日本で流通するようになって約30年経つが、健康被害は報告されていない。
