トランプ大統領は7月7日(現地時間)、日本をはじめとする14カ国に対して、8月1日から発動する予定の関税率を通知する書簡を送った。日本に対する関税率は25%とされた。これは、当初大統領がちらつかせていた30%代よりは低いものであったが、当初発表されていた24%よりは高いものであった。
このような高い関税率が記された書簡を一方的に送りつけてくることから、進まない関税交渉へのトランプ大統領のいら立ちが伝わってくる。そこには世界ナンバーワンの国である米国の自負と、以前のように世界が何もしなくてもそのように扱ってくれていた頃とは違うという焦りが見える。
日本製鉄のUSスチール買収に反対した同業のクーブランドクリフスの最高経営責任者(CEO)が、演説会場に掲げられていた星条旗を掴みながら「アメリカだぞ」と凄みつつ日本製鉄や日本を批判したことが想起される。また、トランプ大統領が、カタールから高級旅客機を贈呈されることを正当化しようとして、既に就航から30年以上が経った大統領専用機の機内で、この機体もすばらしいが、他国の首脳の飛行機と並ぶとちょっと見劣りする、「だってアメリカだぞ」と述べたことも同様であろう。
アメリカの日本の認識のずれ
もとより貿易交渉は時間がかかるものであり、一国相手でも数カ月以上かかるのが常である。それにも関わらず、今回は世界中200もの国が相手である。短時間で交渉が終わるはずはないものであった。
ただ、トランプ政権にしてみれば、多くを米国に依存しているような立場の弱い国は直ぐに譲歩してくるだろうから、解決までにさほど時間はかかるまいという見通しがあったのだろう。実際、政権の期待通り、日本は関税交渉を望む国々の列の先頭にはせ参じ、大統領の顔を立てたのであった。
しかし、現実の関税交渉では、早々に合意に至ったのは英国とベトナムのみであり、それ以外の国々との交渉は日本を含め遅々として進んでいない。早く成果を支持者に示したいトランプにしてみれば不本意にもほどがあるということになるだろう。
