2024年7月20日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年5月27日

 日中の指導者は戦争を望まないと述べている。世界第2位と第3位の経済大国の経済依存関係が混乱すれば、経済計画や国内の安定も根本的に損なわれる。危険なのは、指導者達の意思ではなく、下級レベルでの誤算、「事件管理」の経験不足、競争的なナショナリズムによるエスカレーションである。

 このような状況で目指すべき最良の目標は、周・田中方式の知恵を復活することである。一つの方法は、島嶼を海洋環境保護区に指定し、広く地域の利益の為に使うことである。しかし、日中両国が現時点でこれに同意するとは思えない。他の方策も探求すべきであろう。両国が2008年のガス田共同開発案を復活することも一案である。これにより問題が解決する訳ではないが、問題をストーブの前から遠ざけることにより、これから半世紀にわたり火種が静かに燃え続けるだけにすることは出来るかもしれない、と述べています。

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 これは、中国の言い分をそのまま認めた上での解決策の模索です。日本の公式立場は、田中・周恩来会談で主権の棚上げをしたことはない、というものですが、それは全く無視されています。また、中国が、1992年の領海法制定、1998年の専管経済区・大陸棚法制定、2009年の海島保護法制定等により現状変更を図ってきたことも無視されています。

 筆者達の提案には、実現可能性も、日本として正当化できる根拠も存在しないので、日米両国が力による現状の変更は認められないとの立場を堅持し、不測の事態に対する備えを整備すると共に、偶発事故を防止するための連絡メカニズムの構築を図っていく他に名案はないでしょう。

 ナイ教授は、以前にも、尖閣を海洋保護区とする提案をしたことがあります。彼のような著名な学者が、日本の立場を無視し、スジの悪い思い付きを発表することは、日本の対外広報活動を強化する必要性を改めて痛感させます。

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