水産庁主催「資源管理のあり方検討会」は、3月24日の第1回に引き続き4月18日に第2回、そして5月20日には第3回が開催されました。会は公開で行われ、傍聴者はいずれも100人を超え、第2回からは、傍聴希望者が多すぎて入場を断られる事態になっています。業界紙だけでなく、一般紙、マスコミ関係者、そしてこの問題に関心が高い方々も来場しました。傍聴した方々の反応を聞くと、大半が検討会に対して「果たして大丈夫なのか?」と心配されているようでした。理由は後ほど詳しくご説明します。
本コラムなどを通じて、業界紙だけでなく一般紙・マスコミ・関係者等からの取材が増え続けています。また、一般の方々からの感想も多く寄せられるようになりました。筆者が行っていることは、一般に不足している「客観的な事実に基づいた正しい情報」の提供です。世界の最前線と日々やり取りをしている関係上、鮮度の良い情報が手元にありますし、世界中で日本の資源管理の話をする機会もあります。各国の関係者からは、日本の悲惨な資源管理に対して驚きの声が多く、同情と、日本を「他山の石」として同じような状態になってしまわないように、ととらえられています。
すでにコラムで一連の記事を読まれている方々の多くは「何が問題で、何をどうすればよいのか?」について高い関心を持たれていると思います。「目からウロコが落ちた」、「何でこの通りにできないのか?」とこれまで何人の方に言っていただいたかわかりません。それだけ、問題点と解決策も明らかなのです。これ以上の問題の先送りとミスリードは許されないところまで来ています。
自主管理しても資源が減っていくという現実
日本の資源管理が全て悪いとは言いません。実際に伊勢湾のイカナゴを始めとして、苦労の末、資源管理がうまく機能している例も、もちろんあります。しかし、同じイカナゴでも青森県・陸奥湾のイカナゴ資源は、2007年から資源回復計画に基づき、漁期の短縮や操業隻数の制限などに取り組んできたにもかかわらず、ほぼ枯渇してしまい、魚がいなくなったので禁漁という残念なケースもあります(第11回参照)。
自主管理はどこまで可能なのでしょうか。第2回の検討会では北海道沿岸における日本海のスケトウダラの件が討議されました。資源と水揚げの推移のグラフは下図の通りで、両方とも減り続けています。漁業者の方は、産卵親魚保護のための禁漁区の設定を始めとした自主的な取り組みの説明を行いました。これ以上の規制は経済的に難しいと訴えられていました。さらに、言うとおりにやったら資源の回復ができるのか? とも話されていました。