2024年11月21日(木)

日本の漁業は崖っぷち

2014年6月2日

何が事実なのか? 第三者による客観的な判断を

 このような具体的な説明を続けることで、多くの方々が客観的に「あれ? 変だぞ」と気づかれていることと思います。しかし、資源管理のあり方検討会委員の多くの方々は、世界の常識であり、抜本的な改革のツールである個別割当制度についても、極一部の方を除き、個別割当制度はツールの一つに過ぎない等、ネガティブな意見が多いようです。

 ならば一つの方法として、世界の科学者や第三者機関に日本の水産物の資源管理の状態を分析してもらうのが良いと思います。たとえば資源管理で世界的に有名な米国のモントレー水族館は、魚の資源状況を色別でわかりやすく示しています。(Seafood Watchというガイドで、緑(Best)、黄色(Good)、赤(Avoid=食べるのを避けるべき、に分類される:写真)日本の資源も判断してもらうとよいのではないでしょうか。その他にも世界の科学機関、MSC(海洋管理協議会)等、客観的に評価できる機関はいくつもあります。欧米では、持続可能な水産物に関心が高く、持続可能でないと指摘されると売れなくなるケースが出ます。今の日本では考えられないことが、すでに世界の趨勢となっているのです。

サンフランシスコのスーパーで、赤(Avoid)の魚は売っていません
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 消費者が資源状態を直接知る手段の一つがSeafood Watchによる色での識別です。日本の水産物は、残念ながら大半が赤(Avoid)になってしまう恐れがあります。しかし、それなら何が問題なのか、そこから学べばよいのです。「自主的に管理している」といっても客観性がなければ世界では通用しません。この流れは確実に日本にも訪れることでしょう。

 2016年のリオのオリンピックでは持続性のあるエコラベルがないと供給されないことをお伝えしました(第17回参照)。2020年のオリンピックもすぐそこまで迫っています。これ以上資源を減少させ、漁業者を苦しめていく管理は止め、国際的に認められる水産資源管理をはじめなければならない、ギリギリのタイミングになっているのです。

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