2024年11月22日(金)

科学で斬るスポーツ

2014年6月5日

本田の縦回転スパイクは有効

 実際、その本田選手はブラズーカの特性を考慮して対処していた。自らが履くミズノのスパイク「ウエーブ イグニタス3MD」だ。

 本田選手は、前回南ア大会では無回転キックによるブレ球でゴールを決めるなど、相手チームに警戒されたが、今回のブラズーカはブレにくいことから縦回転によってゴールを狙うのに適したスパイクを筑波大とともに開発した。

 縦回転キックは、フリーキックなどで相手ディフェンス陣の上に蹴り、鋭い縦回転でボールを落としゴールをとらえる技術だ。ボールを下から上にこすり、トップスピンをかけることで、下向きのマグヌス力が働く。鋭く下向きに曲がる軌跡だ。

 イグニタス3MDは、スパイクの甲当たりから爪先の内側にかけて、山形の突起、パネルが波状に配置されている。この突起で、パネルがないシューズに比べ回転数が17%増えたという。

 本田選手は縦回転のキックをするとき、距離によって蹴る位置を使い分けていることもわかっている。長い距離を蹴るときは甲で、近い距離は爪先で蹴る。

本田選手がW杯で履く縦回転用スパイク。下から上に鋭くボールをこすれるよう。突起が波状に配置されている(左)。距離によって、本田選手はスパイクの蹴る位置を変えている(右)(ミズノ社提供)
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 現在、本田選手は、縦回転をマスターすべき練習を重ねているという。

 同じくミズノ社からは、岡崎慎司選手の高速ターンに向いたスパイクが開発されている。

 日本代表23人中、最も契約数が多いのがアディダス社と、ナイキ社のスパイクシューズ。それぞれ7人。香川真司選手が身に着けるアディダス社のスパイク「アディ ゼロ」は片足150グラムと極めて軽く、疲労しにくい。長友佑都選手が履く予定のナイキ社の「マーキュリアル」。このシリーズには一体感を重視したくるぶしまで包みこむ靴下のようなスパイクもある。

 W杯ごとに進化する用具。選手らの技術の向上と合わせて、用具の進化がどこまでプレーを面白くしてくれるか、観戦の一つの見所でもある。

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