トランプ大統領が高関税を課し、Woke思想と戦っている間に、習近平は未来志向の技術進展に力を入れ着々と影響力を強めていると、2025年10月3日付ワシントン・ポストで、ファリード・ザカリアが警告している。
先月の国連総会では、トランプ大統領が自分を雇って本部を改修しなかったと国連に説教したのに対し、習近平は国連創設80周年を祝ってグローバル・ガバナンス・イニシアティブを提唱し、国連の強化を提案し、中国を建設的な超大国と位置付けた。
そして米国が高関税の保護主義を強める中、中国は「発展途上国」としての特権を今後は享受しないと発表した。また、米国がアジアやアフリカの貧困国に過酷な関税を課す中、中国は全ての後発発展途上国や中所得国に対しゼロ関税を提案した。対象国の中にはアフリカの53カ国が含まれる。
最重要の競争領域はテクノロジーで、中国は既にいくつかの分野で大きくリードしている。例えば太陽光パネル、太陽電池、電気自動車に関して中国の優位は今や圧倒的だ。中国は南米・アフリカ・アジアの国々に太陽光発電所、電池プラント、電気バスを提供しているため、この優位性は大きな地政学的影響力を持つ。
米国は人工知能(AI)では今も世界をリードしている。汎用人工知能(AGI)の開発競争はOpenAI、アンスロピック、グーグル等の米企業が優勢だ。ただ、AGIはゴールというよりも概念のようであり、その開発競争に勝つ意味も判然としない。
中国のAIへのアプローチは驚くほど米国と違う。中国はAGIを追求する代わりに開発の現段階でのAIの適用と運用を重視し、物流・監視・スマートシティ・医療・ドローン・ロボットと、経済と社会のあらゆるところにAIを組み込もうとする。生産性を上げ、日常生活に新テクノロジーを組み込む戦略により、AIは素早く経済を変革し、報酬をもたらすことになった。
また中国はAIの運用に関しても異なるモデルを選択した。多くの米企業が最先端モデルを法的保護で厳重に囲うのに対し、中国はDeepSeek等、適用や利用が容易なオープンなAIシステムを発売する。
