2025年12月5日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年10月14日

 2025年9月16日付ワシントン・ポストで、Carrie Filipettiは、TikTok の危険性を具体的に列挙し、サービが続く限り脅威も続くので、即時売却または禁止する意思を固めるべきだと主張している。

(hapabapa/NatanaelGinting/gettyimages)

 9月16日、トランプはTikTokの閉鎖を12月16日まで延期すると発表し、米中両国が、米国内のアプリ運営について合意形成するための猶予を与えた。現在、米国は、TikTokを武器に米国の結束を引き裂こうとする中国の脅威に直面している。

 TikTokへの法執行は、軍事衝突を回避するため、また、軍事的勝利のために極めて重要である。次のようなシナリオがある。

 中国が台湾攻撃を決断し、米国の台湾支援を恐れて海外にある米目標への先制攻撃をする。米国内では、中国が購入した38万エーカーの農地にある秘密基地から、中国工作員がドローン攻撃を行う。米政府が対応策を検討する中、1億7000万人の米国TikTokユーザーがフィードを開くと、人間を装った数千のプログラムが反米プロパガンダを垂れ流して、学生たちに米政府との戦いを煽り、偽情報を拡散する。米議会の審議で、このシナリオは現実的とされた。

 TikTokは政治的コンテンツ拡散を否定しているが、同社は数千人の若い米国人をしてTikTok法案に反対するロビー活動に成功し、影響工作に対する議員たちの懸念はさらに強まった。他の脅威は、より巧妙で悪質だ。

 TikTokの訴訟において、若年ユーザーのフィードが自殺、露骨な性的表現、薬物使用、暴力的表現で埋め尽くされていたことが判明した。ByteDanceは、ジャーナリストへのスパイ行為を認めた。発覚後は、その不正行為を社員のせいにした。

 同社には中国国営メディア出身のベテランが多数在籍し、反米プロパガンダ推進が職務の一環となっている。彼らはTikTokを武器として利用し、子供を親に、隣人を隣人に、市民を国に敵対させようとしている。

 こうした懸念から、議会は法案を可決し、期限を設けて、TikTokを米国企業に売却、若しくは、米国でのサービス停止をByteDanceに要求した。この法案は、最高裁判所の投票により9対0で合憲性が認められ、90日間の延長が1回認められた。

 トランプ大統領がTikTokを救うため、この期限を4回延長した。加えて、ボンディ司法長官も違法なTikTokサービスを継続している企業を法的責任から守っている。


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