2025年12月5日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年10月14日

 これらの政策やTikTok公式アカウントを開設するとの大統領府の決定は、政治的便宜のために米国の安全保障を犠牲にすることになる。それらは、国民的誇り、強靭な家族、そして米国の安全保障を損なう可能性のあるシステムを暗黙のうちに承認している。

 実際、TikTokは、米国憲法の目的を損なう可能性がある。TikTokは、私達の結束を脅かし、正義を覆し、米国内の混乱を助長し、国防を弱体化させ、私達の自由を脅かす。米国の遺産を尊重したいのなら、TikTokを即時売却または禁止しなければならない。

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交渉への2つの疑問

 TikTokをめぐっては、米国では今年1月に施行した法律で、中国資本のまま米国でのサービスを続けることを禁止し、「米資本への売却」か「撤退」の二択選択が求められた。米中両国政府が15日、TikTok売却の枠組みに合意し、22日にはホワイトハウス高官が、次のように述べたと報じられている。

 「TikTokの売却を巡り、トランプ大統領が週内に大統領令に署名する。米IT大手オラクルや米投資ファンドのシルバーレイクなどの企業連合が買い手となる」。そして、10月末のAPEC首脳会議(於韓国)の機会に、トランプ・習近平の対面首脳会議が開催され、詳細が明らかになろうと報じられている。

 本件については、二つの疑問がある。一つは、何ゆえにトランプ大統領は、「撤退」ではなく、交渉に時間がかかるであろう「売却」を選択したかである。

 これに対しては、米国の若い有権者にはTikTokをみてトランプ支持を決めた人が多く、大統領自身TikTokの貢献を高く評価していたこと。また、「撤退」となれば米国内の1億人以上の利用者、特に若者の反発を恐れたと指摘する声がある。

 もう一つの疑問は、中国がなぜこのタイミングで売却に同意し、首脳会談の実現に動いたかである。


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