2025年11月18日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年10月17日

 2025年9月10日付ニューヨーク・タイムズ社説が、トランプは国の経済を家族ビジネスのように取り扱っていると批判している。

(ロイター/アフロ・Sundry Photography/gettyimages)

 15年以上前、オバマは米国自動車産業を政府資金で救済した。インテル支援も同じ部類に属するという議論がある。

 しかし、トランプのやり方ではインテルの助けにはならない。それは、トランプが米経済に気まぐれに介入し、まるで自分の家業の延長のように扱い、国民全体に不利益をもたらす一つの例になる。

 トランプはインテル新しい最高経営責任者(CEO)のタンを、中国での過去のビジネス関係を理由に激しく非難し辞任を要求した。タンは職を守るため大統領府に赴いた。そこでトランプはインテルに米政府へ10%の株式を譲渡するよう迫りタンは同意した。  

 これは、豊かな民主国家における経済政策のあり方ではない。大統領が特定企業に極端な介入をする場合、オバマがしたように戦略を説明し、法律を遵守すべきだ。

 しかし、トランプのインテルへの対応は、まるでベネズエラやロシアのやり方のようだ。政治指導者が脅しや侮辱で経営者を屈服させる手法だ。

 トランプは、経済政策を推進する過程で、米国の規範や法律を踏み越えた。エヌビディア(NVIDIA)やアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD) には、中国への半導体販売を許可する見返りに、その収益の一部を政府に提供するという異例の条件を課した。

 議会の承認なしに他国に関税を発動し、実質的に米国民に課税したこともあり、それは裁判所により違法と判断された。彼は関税の脅しを使ってApple等の企業や外国政府に対し、無理矢理に対米投資を約束させた。さらに、独立機関である連邦準備制度理事会の理事を、根拠のない告発で罷免しようとした。


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