フィナンシャル・タイムズ紙の9月23日社説‘The overdue recognitions of a Palestinian state’紙は、「英国等の先進国がパレスチナ国家を承認したことは、現状を変えるものではないが画期的なことだ。しかし、ネタニヤフ極右政権は西岸地区の併合を進める恐れがあり、パレスチナ側の指導者達も指導力がない。とはいえ、二国家解決を諦めることは過激派への屈服を意味する」と述べている。要旨は次の通り。
一部のイスラエルの友好国がパレスチナ国家を承認したのは画期的な出来事だったが、この出来事は過去2年間、ガザの戦争を続け、西岸を蚕食しているイスラエルに対する全世界の怒り、絶望を表している。
9月21日、英国、カナダ、オーストラリア、そしてポルトガルがパレスチナ国家承認という歴史的な一歩を踏み出し、フランスとその他の諸国も22日に続く。ネタニヤフ・イスラエル首相が率いる極右の政権が、二国家解決への願望を破壊しようとしている時に主要7カ国(G7)のメンバーの内の3カ国が他の140カ国以上に続いてパレスチナ国家を承認したことは意義がある。
確かにパレスチナ国家の承認は、非常にシンボリックな行為であり、パレスチナ人の置かれている境遇を変えないであろうし、イスラエルが行っている破滅的な戦争を終わらせるものでもない。特にイスラエルに対して唯一圧力を掛けられる米国がパレスチナ国家の承認に反対していることは深刻だ。
しかし、グローバル・サウスが、偽善的な西側諸国が包囲下のガザの深刻な状況とイスラエル側の西岸での狼藉に対して目をつぶっていると信じている最中に、西側諸国がこのような承認を行ったことは、パレスチナ人に独立国家を樹立する正統な権利への国際的な支持を強めることになる。
西側諸国のパレスチナ国家承認は、パレスチナ国家樹立に反対して来たネタニヤフ首相を刺激するリスクがある。同首相は、パレスチナ国家の承認はハマスに褒美を与えることだと非難しているが、これは近視眼的な見方だ。
つまり、パレスチナ国家承認は、過激主義を無力化し、際限のない暴力の連鎖を終わらせる希望への実現可能な選択肢だからだ。しかし、ネタニヤフ首相がイスラエルの攻撃を終わらせて戦後の計画を立てることを拒否し、さらに、西岸で入植者が暴れるのを阻止しようとしないので、イスラエルの同盟国にとって(パレスチナ国家承認以外の)選択肢はほとんど無かった。
2023年10月のハマスの奇襲攻撃以来、イスラエルはガザを空爆してガザを居住不能にし、その社会構造を破壊している。パレスチナ人の死者数は6万5000人に達しており、イスラエルがガザでジェノサイドを行っていると見なす専門家が増えている。さらに、イスラエルは同時並行的に、事実上、国際法上違法な西岸の併合を進めている。
