9月9日にイスラエル軍がカタールにいたハマス幹部を狙って爆撃し、ガザ戦争の終結に向けたイスラエルの選択肢は狭まってしまったと、2025年9月9日付ワシントンポスト紙で、同紙コラムニストのイグネイシャスが述べている。
イスラエル軍がハマス幹部を標的にカタールへ空爆をしかけた (ロイター/アフロ)
ガザ戦争の強制的終結を目指してカタールにいたハマス幹部を標的にイスラエルが行った攻撃は、イスラエルとしては珍しく戦術的失敗だった。攻撃でハマス幹部は殺されず、数少ない停戦のための経路が粉砕されてしまった。
イスラエルのロケット弾が着弾した時、ハマス幹部はトランプ大統領が最後だと警告した和平案について協議しようとドーハに集まっていた。カタールによれば、爆発音の最中に、米大統領府から攻撃を警告する電話があったという。
カタールは衝撃を受け、裏切られたと感じている。また今回の攻撃で、ハマスへの最も信頼できるメッセージの伝達者、カタールの仲介者としての役割は粉砕されてしまった。
今回の攻撃は、ネタニヤフ首相がハマスを屈服させるべく全力で電撃作戦を行っていることを示すもので、今や彼はハマス殲滅を固く決意し必死になり、これまでの規範や抑制をかなぐり捨てたと思われる。
イスラエルの行動に対する米国の反応は厳しく、リービット報道官は、「我々と共に危険を冒して懸命に和平仲介に努めてきた国」を「一方的に爆撃する」ことはイスラエルや米国を目標へと前進させるものではないと述べている。英、仏、独はさらに厳しい。
