ネタニヤフ首相の極右の連立相手はパレスチナ独立国家を破壊しようとする意図を隠しもせず、ネタニヤフ首相は公式に西岸の一部の併合を進めるだろう。もし、併合するならば西側諸国は、イスラエルに対して強硬に懲罰的な対応をしなければならない。二国家解決は、これまでになく遠のく。
もちろん、イスラエルの行為は問題だが、パレスチナ自治政府の指導者達も同情の余地が無い。西側が支援するパレスチナ自治政府が西岸の一部を統治しているが、弱体でその指導力に疑問符が付けられている。
しかし、何十年も続く中東紛争の公平かつ永続的な解決のために二国家解決を諦める事はイスラエルとパレスチナ双方の過激派に屈服する事を意味する。和平に残された時間はない。
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もう国際社会の声では足りない
国連総会の機会に英国等の西側主要国がパレスチナ国家を承認したのは、この社説も指摘している通り画期的だが、イスラエルがガザの戦闘や西岸併合の動きをこの承認により止める可能性はなく、現状を変えるものではない。むしろ、政権延命のために極右派に引き摺られているネタニヤフ政権が反発して西岸併合を進める可能性を高めたと思われる。
この社説は、イスラエルがガザで戦闘を続け、西岸を粛々と併合するという無法行為を続けている現状を変えられないのにもかかわらず、英国等の承認は、国際社会のパレスチナ独立国家樹立への支持への励みになったという点を評価しているが、イスラエルの行動を変えるためには国際社会が声だけではなく実質的な圧力をイスラエルに掛けなければならない段階に来ているように思われる。
本年6月の世論調査によれば、イスラエル国民(アラブ系も含む)のたった21%がイスラエルとパレスチナ国家が共存する二国家解決を支持しているという結果が出ており、二国家解決をネタニヤフ首相のみならず大多数のイスラエル国民も拒否していることは深刻な問題だ。
9月25日、米マイクロソフト社がイスラエル軍による同社のクラウド・サービス利用を禁止したと報じられた。これはイスラエル軍が、パレスチナ人の個人情報を同社のクラウド・サービスに保存し、ガザへの攻撃に利用していたためである。
