2024年11月22日(金)

中国メディアは何を報じているか

2014年6月10日

全国規模で銃器使用の「大演習」を実施

 朱家明は中国北部のある県公安局に属する治安大隊の警官だ。5月22日、彼は3日間の特別研修に参加した。重点は拳銃使用についてである。公安系統では「大演習(原文は大練兵)」と呼ばれ2014年4月初旬から各地で順次始められ、全国の公安系統において全面的に展開された。

※中国において公安とは日本でいう警察に相当し、日本でいうような国家の安全に対処する外事(公安)警察を指すわけではない。

 公安部は11年前に「5項目の禁止令」を施行し、銃器管理を厳格にした。同禁令では2項目で銃器管理に触れており、違反した場合は警察内処罰だけでなく監督責任も追究されることが記された。そこで朱家明は求めに応じて5年間保有してきた拳銃を返却し、それから今まで銃を触っていなかった。中国の警察で朱家明のように長年銃を触っていないという者は少数ではなかった。

 公安部人事訓練局の責任者によると、「大演習」が行われた理由には長期的に下層(基層)警官に武器使用で「使わせない、使おうとしない、使いこなせない、使えない」といった現象が存在し、地方公安機関の日常訓練で「しっかり行わず、やり方が足りない」といった問題があったためだという。

 公安機関の公務での銃器使用規定(1999年施行)によると、銃器の配備、使用で警官は研修、審査を受けなければならず、年に1度は実弾射撃訓練をすることになっていた。しかし実際には刑事、特殊警察以外、多くの下級警官はこの要求を満たしていないという。

 警官たちによると、銃器使用についてこのような「大演習」はここ十数年、二十年なかったことという。「大演習」で市公安局の保管庫から出された銃器は皆新しく、長年間使用されていないものだった。こうしたことからテロ事件が頻発する中で警察の銃器使用について考え方が変わり始め、「慎重な銃器使用」から「ためらわずに剣を抜く」へと転換が起きていると見られている。

昆明での通り魔事件が転換点に

 昆明駅での「テロ事件」が警察による武器使用に対する考え方が変わった転換点と考えられている。3月1日、昆明駅(雲南省)で発生した「テロ事件」(通り魔事件:筆者)は12分間続いたが、警察は事件発生から3分で現場に到着していた。それでも最終的に29人が死亡し、143人が負傷した。


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