自治体のチェック体制も脆弱
森林伐採に際して市町村に提出しなければならない伐採届も効果薄だ。伐採届は、森林所有者らが森林の立木を伐採する場合、事前に伐採および伐採後の造林計画の届出を義務づけたものだが、チェック体制があまりないのだ。
市町村は、伐採届に記された山林所有者や伐採業者の名前、連絡先が間違っていないか、印鑑等が押されているか……などを確認しただけで適合通知書を発行する。担当者が、伐採届に記された実際の伐採予定現場や作業内容を確認することはまずない。
さらに伐採届には、伐採後の造林計画も記す必要があるが、実行したのかどうかも現地確認はしない。業者が「造林しました」と報告すれば、それで了承してしまう。あるいは「天然更新(自然に木が生えることを期待する)」と記されていれば適法とする。その場合、5年後に本当に生えたか調査することになっているが、それが実行されることも滅多にないだろう。
市町村には森林・林業の専門家がほとんどいないし、人手が足りないからである。
自社で発行できる合法証明書
このように 伐採に関する手法や事後の管理など届け出義務があると言っても、十分に機能しているとは言い難いのである。
素材生産業者らが販売先に提出する合法証明書も、第三者の審査を経たものではない。なんと自社で発行できるのだ。自分が伐採した木に違法性があると記すわけがなく、なぜこれでも合法証明になるとしたのか不思議である。
また奇妙なのは、改正前は示さなければならなかった調達する木材の「数量」が、改正で確認項目から外されたことだ。これまで木材の購入側は、書類に記載された伐採地の広さと搬入された原木量を比較することで、違法伐採の木材が混ざっていないか判断することができた(実際に違法性を指摘したケースがあったかどうかは定かではない)。
しかし改正によって数量データが記されなくなれば、判断する手段が失われる。なぜ数量を記さなくしたのか理解できない。
