2025年12月8日(月)

Wedge REPORT

2025年10月20日

違法木材の売買を妨げない法律

 森林破壊防止には二つの考え方がある。

 一つは、森林管理を厳格にすること。伐採や開発を行う許認可条件を定めて業者に守らせるという考え方だ。それを取り締まるのは行政(日本の私有林は市町村)である。

 もう一方で、木材のサプライチェーンに属する事業者に、売買時に木材の合法性や持続性を確認させる方法がある。確認できなければ購入できないようにする。

 クリーンウッド法は前者である。ところが、その基本的立場は違法伐採の禁止ではなく、合法木材の推進だ。それも業者が登録することで機能する。肝心の合法性の確認も努力義務にとどまり、違反しても罰則はない。

クリーンウッド法のパンフレットの一部

 クリーンウッド法の登録業者になるよう勧めるパンフレットには、赤字で「合法性が確認できない場合でも、追加の措置は求められません」と記されている。また確認できなかった場合も、その旨記せば流通させることができるとも書かれる。この法律が売買を妨げないことを強調しているのである。

 それで効果はあるのだろうか。すでに近年、鹿児島のクリーンウッド法の登録業者が盗伐を行っていたことが裁判で明らかにされている。

 さすがに昨年行われた改正では、素材生産(伐採)業者は、原木の購入業者、または木材・木材製品を輸入する業者に対して、合法性の確認結果の情報を定期的に報告する義務をつけた。また木材を購入する業者も、合法性確認を行う義務を負うとした。

クリーンウッド法の改正部分(林野庁HPより)

 だが、木材購入業者が合法木材を利用することは努力義務のままである。また伐採地域なども示す必要はなく、合法性確認の根拠を販売先に示す義務もない。

 こうしたクリーンウッド法の実情からすると、違法行為を確認しづらく、証拠がないことから、盗伐などの事案が起きても警察は動かないだろう。


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