8月4日(箸の日)、奈良県吉野郡下市町の吉野杉箸神社(下市八幡神社内摂社)で箸祭りが行われた。この神社は割り箸を祀っており、毎年この日に割り箸に感謝を捧げて、製品に至らなかった箸などのお焚き上げも行われた。
下市は、世界で最初に割り箸が生み出された地であり、今も国産割り箸生産の中心地だ。祭りの主催は吉野杉箸商工業協同組合。割り箸に関わる問屋などの組合だが、今年はちょっと割り箸に関する新たな取組が行われている。クラウドファンディングだ。
「下市町でも、箸をつくる職人と工房が減り続けています。今、割り箸を専門につくっている工房は5軒ぐらいしか残っていません。兼業を含めてもわずかです。そこで製箸の技術が途切れないよう、新たに職人になりたい人を募集する『吉野杉箸再生プロジェクト』を立ち上げました。今回のクラファンは、町の空き家を改修して住まいを提供するとともに、製箸機械を導入する資金の一部を集めようというわけです」
そう説明するのは吉野杉箸商工業協同組合の坂口統央理事長。実は割り箸の中でも最高級とされる杉箸は、需要が伸びている。にもかかわらず生産量は減少しているのだ。つくれば売れるのに……という思いが、新たな職人募集へと繋がっている。
