森林・林業にかかわる土木を、一般土木と区別して、森林土木と呼ぶ。一般土木からすれば小規模な森林土木工事など歯牙にもかけないだろうが、森林・林業に携わる人たちの森林土木への無関心がいただけない。森林・林業で行う付帯的な土木事業ぐらいにしか思っていないのだ。
森林土木の内容は、林道工事と治山工事に大別される。森林・林業関係者は、森林施業、造林、伐採搬出には関心があって森林・林業技術と称して尊重しているが、林道は土木技術で別の世界、林業技術の範疇ではないと感じている。
ところが林道事業を担当してみるとわかることだが、林道がないとそこでいくら木材を生産しても1本も市場に出ていかない。造林だって林道がなければ通えない。林道が林業の生命線であることがよくわかる。
また治山においては、森林の公益的機能を維持するために開発や伐採を規制する保安林という強力な法制度と一体的なため関心は高いが、金目を要する工事にばかり目が行っている。多くの森林・林業関係者は本質をとらえていない。
その上、産学官もこのような森林土木を森林・林業技術の亜流と見做し、現状に安住して技術や制度の改革を怠っている。今回からその問題点について洗い出し、改革の方向性を提案してみたい。